【市場動向】メインフレーム、オフコンをクラウドに移行、その利点とは:レガシーマイグレーションの新潮流
メインフレームやオフコンなど、いわゆるレガシーシステムの移行先としてクラウドを利用する新しいレガシーマイグレーションのサービスが増えてきた。代表的なサービスを紹介する。
会計や人事・給与などの業務アプリケーションのプラットフォームとしていまだに多くの企業で使われているメインフレームやオフコン。現在、主流のオープンシステム(IAサーバ、UNIXサーバなど)と区別するためにレガシーシステムと呼ばれることもある。日本企業は長くこのレガシーシステムのオープンシステムへの移行(レガシーマイグレーション)を進めてきた。その移行先として従来のオンプレミスのオープンシステムではなく、PaaSなどのクラウド環境に移行するサービスを各社が展開し、注目を集めている。本稿ではクラウドを活用したレガシーマイグレーションの新しい潮流を紹介する。
約半年でシステム移行が可能
企業はレガシーシステムの高額な保守サポートコスト、パフォーマンスの低下、低い柔軟性、サポートできる人員の減少などを問題視して、この10年ほどレガシーマイグレーションに取り組んできた。しかし、レガシーマイグレーション自体にコストが掛かるため、中堅・中小企業では二の足を踏むケースもあった。移行先のハードウェアの用意やレガシーシステムで稼働していたCOBOLプログラムなどの書き換えにコストが掛かるのだ。
クラウドを使ったレガシーマイグレーションでは、移行先のサーバを保有する必要がなく、低コストが特徴だ。プログラムを書き換えることなく、ほぼそのままの状態でクラウドに対応できるサービスもあり、変換のコストを抑えることもできる。また、システムの保守・運用をベンダーに任せることでコスト削減、サービスレベルの向上も期待できるなどのメリットがある。
NTTデータは、メインフレームで稼働していたCOBOLプログラムを同社のクラウド基盤である「BizXaaS」上に移行する「COBOLクラウド」サービスを提供している(参考記事:“SIerとしてのクラウド”、NTTデータの「BizXaaS」)。COBOL実行環境として英マイクロフォーカスのCOBOL製品を採用し、NTTデータのCOBOL用開発フレームワーク「PORTOMICS」や基盤技術「PRORIZE」を組み合わせることで、「バッチジョブ制御」「階層型DBアクセス」などメインフレームの代表的な機能をクラウドで利用できるようにする。メインフレーム上のCOBOLプログラムをクラウド上に移行でき、企業は移行に伴うリスクやコストを抑えることができる。BizXaaSだけでなく、企業が保有するプライベートクラウド環境を移行先に選ぶことも可能で、企業の事情に合わせた利用形態が選べる。
NTTデータはこのCOBOLクラウドを活用して財団法人車両情報センターの「次期競輪電話投票システム」を構築したと2012年4月4日に発表した。従来システムで使っていたサーバ環境をBizXaaS上に移行し、競輪電話投票の業務アプリケーションをほとんど修正することなく稼働させた。業務アプリケーションの修正を少なくすることでテスト工程などが短縮でき、約半年という短期間で移行が完了したという。
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