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【市場動向】要員削減を受け、統合運用管理ツールは簡単・シンプルが鍵に運用自動化、障害の原因特定、一元管理へのニーズが増大

統合運用管理製品のトレンドを掘り下げると、現場が抱える課題と対策の傾向が見えてくる。IDCジャパン シニアマーケットアナリストの入谷光浩氏の話から、運用管理に対するユーザーの期待と投資の方向性を俯瞰した。

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統合運用管理製品は国内ベンダーがシェアの過半を独占

 仮想化、クラウドの浸透によりシステム基盤が複雑化している今、統合運用管理ツールの重要性がますます増している。IDCジャパンによる統合運用管理製品の市場調査「国内システム/ネットワーク管理ソフトウェア市場調査」によると、2011年の市場規模は前年比1.6%増の2789億8900万円。年間約2兆円規模といわれる国内ソフトウェア市場全体の1割以上を占める成熟市場でありながら、年間平均成長率は2.5%を堅持。2016年には3155億円に達すると予測されている。

 2011年のベンダー売上額シェアを見ると、日立製作所富士通NECという国産ベンダー3社が、外資系ベンダーを抑えて高いシェアを誇っている。

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統合運用管理製品ではメインフレーム時代から継続的に運用管理を支援してきた国産ベンダーのシェアが圧倒的

 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリスト 入谷光浩氏は、「海外ではビッグ4と呼ばれているIBMHewlett-Packard、CA Technologies、BMCソフトウェアだが、国内ではメインフレーム全盛の時代からユーザー企業のシステム運用管理をサポートしてきた国内メーカーの後塵を拝している。国内ベンダーがここまでシェアを独占し続けている製品分野は他にない。この点も運用管理の効率化がメインフレーム時代から続く恒久的な課題であることを表している」と話す。

ジョブスケジューリングと運用自動化製品にニーズが集まる

 こうした中、注目すべきトレンドは「ワークロードスケジューリング/オートメーション」製品が売上額を伸ばしていることだという。IDCジャパンでは、統合運用管理製品を「ワークロードスケジューリング/オートメーション」「イベント管理」「パフォーマンス管理」「変更/構成管理」「問題管理」「ネットワーク管理」「出力管理」(生成された情報の配布などを自動化するツール)の7分野に分類し、機能別の売上額を調べている。

 これによると、「ワークロードスケジューリング/オートメーション」が、統合運用管理製品全体の売り上げの4分の1以上を占め、2011年は対前年比3.4%の成長率を記録。そのうち9割以上がバッチ処理などのルーチンを自動化するジョブスケジューリング製品だという。一方、仮想サーバのプロビジョニングなどを支援する運用自動化製品も、市場規模としてはジョブスケジューリングの10分の1に満たないものの、売上額の伸び率は高いという。入谷氏はこの点について、「運用コスト削減と仮想化の浸透が大きな要因だ」と指摘する。

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ジョブスケジューリングと運用自動化製品の売上額が高い成長率を記録。この背景には運用コストの削減がある

 「ジョブスケジューリングが大半を占める背景には、リーマンショック以降続くコスト削減のトレンドを受けて、運用管理要員が減らされている事情がある。それも社内の要員ではなく、運用管理のアウトソーシング先をカットすることで、システム運用の内製化を進めている企業が多い。一方、運用自動化製品は、サーバ仮想化に伴う運用管理作業の複雑化を避ける目的で導入されている。両製品の好調からは、年々増加・複雑化する作業を、限られた要員でコストを抑えながらいかに効率良くさばくかという強いニーズが見て取れる」

 実際、2012年10月にリリースされたばかりの日立「JP1 Version10」をはじめ、富士通「Systemwalker」、NEC「WebSAM」、IBM「Tivoli」など、各ベンダーともジョブスケジューリングと運用自動化機能には力を入れている。入谷氏は「特に運用自動化製品は仮想マシンが100台を超える規模になれば不可欠になる。今後、仮想化の浸透が進んでいけば導入企業は一層増加するはずだ」と予測する。

大企業では、障害の原因切り分け機能の活用が進む

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