煩わしいI/O管理からCPUを解放するネットワークの仮想化手法:ネットワークアダプターで仮想I/Oを実現
仮想サーバと仮想デスクトップが普及し、ストレージへのI/O要求がさらに高まった。その解決策となる「仮想I/O」をネットワーク側で実装すると、ハイパーバイザーの負荷を大幅に減少し、CPUリソースを有効活用できる。
データセンターの完全な仮想化という目標に向かう階段の次のステップは、ストレージ/IP両方の「ネットワークの仮想化」だ。仮想サーバと仮想デスクトップの普及に伴い、ストレージシステムに対するI/O要求が一段と高くなり、仮想I/Oがこれらの新たな要求に対応できる費用効果の高いインフラを実現する鍵となった(関連記事:一筋縄ではいかない、データセンターの完全仮想化)。仮想I/Oを導入する方法としては「ストレージシステムをネットワークに接続するホストに配備する方法」と「インフラに実装する」方法がある。仮想I/Oの実装場所によって、その定義が若干異なる場合もある。本稿では、ホスト配備方式について解説する。
今日のサーバ/ホスト技術は、4、5年前と比べるとすっかり様変わりした。かつては、1台のサーバが1つのアプリケーションをサポートし、そのI/O機能は全てそのアプリケーション専用とされた。今日の仮想データセンターでは、ホストに装備されたストレージ用ホストバスアダプター(HBA)とネットワークインタフェースカード(NIC)は、複数の仮想マシン(VM)によって共有される。従来のサーバアーキテクチャではNICとHBAが分離しているが、iSCSI、NAS(Network Attached Storage)、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)を利用すれば、ホストに搭載した同一の物理アダプター上でNICとHBAを動作させることが可能だ。
関連記事
- 帯域幅のアップグレードに温度差があるファイバーチャネルとイーサネット
- VMwareの認証が鍵となるFCoE、バックエンドストレージで注目のInfiniBand
- 仮想インフラに10ギガビットネットワークは必要か?
第3フェーズを迎えたサーバ仮想化のI/O融合
仮想化と統合化に伴い、個々のVMがI/Oリソースを奪い合うようになったため、アダプターは複数のタイプのネットワークトラフィックとストレージI/Oトラフィックを処理しなければならなくなった。10Gギガビットイーサネット(10GbE)、10ギガビットFCoE、8ギガビットあるいは16ギガビットファイバーチャネル(FC)といった高速技術は、多数のVMからの要求に対応できる帯域を提供する。問題は、適切なVMが適切な量の利用可能帯域を適切なタイミングで得られるようにすることだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.