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APIだけでは解決できない、SaaS連係に潜むワナSaaS連係に必要な戦略とツール【前編】

SaaSベンダーからAPIさえ提供されていれば、オンプレミスとの連係が簡単に実現できるという誤った認識が広まっている。これについて、ソフトウェア連係の専門家のアドバイスを紹介する。

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 社内アプリケーションとSaaSアプリケーションを連係する必要がある場合、従来のツールや場当たり的な手法では、オーケストレーションやセキュリティ、データ変換といった困難な課題に対処することはできない。しかし「多くの企業では、従来のやり方が根強く残っており、社内アプリケーションとSaaSアプリケーションの連係がなかなか進んでいない」と米Gartner Researchと米451 Researchのアナリストらは指摘する。

 オンプレミスアプリケーションとクラウドアプリケーションを連係するためには、何をしなければならないのだろうか。従来のソフトウェア連係手法ではなぜうまくいかないのか、また、連係にはどのようなツールや戦略が必要なのかについて、ソフトウェア連係の専門家のアドバイスを以下に紹介する。

 調査会社の米Gartner ベノア・ルロー副社長によると、「“クラウドラッシュ”が進む中、アプリケーションの連係が見過ごされてきた」という。多くの企業は仮想化とクラウドの進歩に追い付くのに躍起になるあまり、オンプレミスアプリケーションとクラウドアプリケーションのデータ連係や同期をないがしろにしてきた。「皮肉なことに、仮想化とクラウドは連係の必要性をさらに高めている」とルロー氏は付け加える。

 SaaSベンダー各社が十分な統合ソリューションを提供していないというのは、クラウドアプリケーションをいち早く採用した企業の多くにとって予想外の状況だ。「どのクラウドプロバイダーもAPIを提供してきたので、アプリケーションの連係はいとも簡単に実現できるという誤った認識があった」とルロー氏は語る。だが大抵の場合、「クラウドベンダーのAPIは問題の解決にならない」という。その多くがベンダー独自のAPIであり、その仕様も複雑であるためだ。例えば、米Salesforce.comのAPIの仕様書は500ページ以上にも及ぶ。

 また、企業のIT部門は、アプリケーションと個別業務を連係させるために使われてきた、社外のEDIやFTPサービスといった従来型の技術によって、クラウドアプリケーションの連係を実現できると考えてきた。しかし、451 Researchでエンタープライズアーキテクチャ、連係およびBPM(ビジネスプロセスマネジメント)を担当するカール・リーマン氏は、「問題は、これらのツールは高価で、高度なスキルを必要とし、クラウドシステムの仕組みに対応していないものもあることだ」と指摘する。

 この5年間、各社が新しいSaaSアプリケーションを採用するたびに場当たり的な手法で連係の課題に対処してきた状況を目にしてきたルロー氏は、次のように語る。

 「クラウドプロジェクトを何件か経験するまでは、連係がどれほど厄介なものであるのか分からない。これらの企業は今、混乱を極めており、あらゆるタイプのアプリケーションに対応できる合理的な原則に立ち返らなければならない状態だ」

アプリケーション連係のハードル

 リーマン氏によると、複数のベンダーから提供される複数のSaaSソリューションを複数のオンプレミスアプリケーションに連係させる場合、IT部門は次のような厄介な課題に直面するという。

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