医療/介護の情報連携に強みを持つ「電子カルテシステムER」:病院向け電子カルテ製品紹介:ワイズマン
介護支援システムで国内トップクラスのシェアを誇るワイズマン。同社が提供する電子カルテは、有床診療所や200床前後の中小規模病院を中心に導入されている。
介護保険/報酬請求ソフトを中心に、全国約2万5000の福祉・介護事業者へのシステムの導入実績があるワイズマン。同社はユーザーの声を受け、医療機関向けシステムの開発に着手し、1997年に病院・診療所向けレセプトコンピュータ(レセコン)「医療事務管理システム」を、2002年に「電子カルテシステムER」を開発・発売している。電子カルテシステムERは、医療・介護の連携支援機能を搭載する点が特徴だ。中小規模の病院(200床以下)や有床診療所を中心に114施設(2012年10月末時点)で導入され、同一グループ内で医療/介護事業を展開する施設でシェアを伸ばしているという。
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中小規模病院に適した「電子カルテシステムER」
電子カルテシステムERは、クライアント/サーバ型システム。「オーダリングシステムER」「病棟看護支援システムER」、医療事務管理システム、リハビリシステムなどと連携し、各システムのデータを共通データベースに集約できる。院内業務の効率化や医師・看護師、部門スタッフ間のシームレスな情報共有や連携によって、チーム医療の推進や医療サービスの質の向上を支援する。
電子カルテシステムERのカルテ画面構成は、カルテ2号紙の形式。既往歴や主要症状、経過などを表示する「カルテエリア」、処方や手術、処置などの情報を表示する「オーダーエリア」、患者に関するカルテや部門記録などの履歴を表示する「ERガイド」の3つの領域で構成される。
カルテやオーダー、入院経過などを参照するために別ウィンドウを開く必要がある電子カルテもあるが、電子カルテシステムERでは参照情報を画面の半分に集約して表示し、画面の切り替えを減らすことで簡単に操作できるように工夫している。
また、SOAP区分ごとの候補入力や診療科別・医師別のテンプレート、シェーマ入力などの入力支援機能を備えている。
ワイズマン 医療事業本部 医療営業部 医療営業企画課長 細越 暢氏は「電子カルテシステムERは、中小規模病院や有床診療所の情報共有に適するコンパクトなシステム」と説明する。その理由として、部門システムがなくても、各部門で記録したデータを簡単に共有したり、一元管理できる点を挙げている。
電子カルテシステムERは「諸記録入力」機能を搭載し、通常は部門システムに入力する情報を電子カルテに記録して一元管理できる。「例えば、医師の診療記録と合わせてアナムネや栄養指導、リハビリカルテなどの情報を“リハビリカンファレンス記録”として集約できる」(細越氏)。また、部門ごとに服薬指導や栄養指導、診断リポートなどの記録テンプレートを作成・利用可能で、履歴データの一括収集や転記入力の作業の軽減などで業務の効率化が図れるという。
「入院経過シート」画面ではカルテやオーダー、看護指示、部門諸記録など、医師の回診や病院スタッフの業務に必要な情報を1画面に集約。バイタルサインの時系列表示(グラフ・数値表)やオーダー情報を実施状況と合わせてカレンダー表示する。
また、部門間の情報伝達機能として「院内コミュニケーション」ツールを実装。診療開始や受付登録の際、重要な伝達事項を自動表示することで見逃しを防止する。さらにグループウェア「CoMedix」と連動することで、スタッフ間のメールや予定管理、定型文書管理、設備予約なども実施できる。
医療/介護のシームレスな情報連携を可能にする「MC.net」を提供
2012年の診療報酬改定では、医療/介護の連携強化が重点課題に掲げられた。また、訪問看護や在宅でのターミナルケアなどの社会的なニーズも広がっている。しかし、ワイズマン 販売促進課 谷崎 愛親子氏によると「患者に関するさまざまなデータが各施設に散在しており、それらを統合できていないのが現状。“どういう連携をすれば、効率的に情報共有できるのか”を手探りで進めている病院や介護施設が多い」という。
ワイズマンは2012年4月、電子カルテシステムERに医療/介護連携機能「MC.net」を追加。同社の介護支援ソフト「ワイズマンシステムSP」とのシームレスな情報連携が可能になった。医療機関や介護施設・サービス事業者などのデータベースの情報を連携施設のスタッフがMC.netを介してWebブラウザで閲覧できる。医療機関側のデータベースからは「患者基本情報」「紹介状」「カルテ所見」「経営情報」を、介護施設・サービス事業者のデータベースからは「利用者台帳」「ケア記録」「経営情報」などの情報を参照する。また、iPadなどのモバイル端末にも対応しており院外利用も可能だ。
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