ストレージ業界の2013年を占う【後編】
「SDS」とは? ストレージを語る上で欠かせない3つの最新キーワード
ストレージ分野では毎年さまざまな技術やアプローチが登場する。中でも、2013年の業界動向を語る上で重要な3つのキーワードがある。
革新的な技術が多く誕生したストレージ業界。しかし、「データは急激に増加しているはずなのに、ストレージ予算は増えていない」という状況の中、2013年は厳しい現実を突き付けられそうだ。前回の「業界神話が崩壊したストレージ市場は冬の時代へ」に続き、2013年のストレージ業界の動向を予測する。
2012年の合言葉は「最適化」だった。2013年も引き続き、さまざまな技術やアプローチが採用されることになりそうだ。それらは3分野に分類できる。ただし、それぞれが相互に排他的な関係にあるわけではなく、相互に参照し合える関係にある (関連記事:市場調査から探る2012年データセンタートレンド)。
1. Software-Defined Storage
まずは、「Software-Defined Storage(SDS)」だ。ITマーケティングの世界ではここ数カ月、この表現が包括的なキーワードとして乱用されている感もある。実際、ストレージ業界はよりソフトウェア中心のアプローチへと移行しつつある。この変化もまた、長年にわたって築かれてきたものだ。ただし、これからの1年間は、SDSの幾つかの側面が「エンドユーザーによる購入」「新興企業による活動」、そして「M&Aを駆り立てることになる」というのがわれわれの予想だ。SDSには、以下のような側面がある。
- ストレージシステムにおけるコモディティハードウェアの採用
- ストレージのスケールアウト
- オープンソースのストレージソフトウェア
- ユニファイドストレージ
- APIベースのストレージプロビジョニング
2. コンバージドインフラの一環として導入するストレージ
次のポイントは、「ストレージが徐々にコンバージド(集中型)インフラの一部として導入されるようになる」という変化だ。2012年には経済的必要性と製品の成熟によって、コンバージドモデルの魅力が高まった。さらに2013年にはその導入が進むことが予想される。
コンバージドインフラにはさまざまなアプローチがある。だが意思決定者の間では、「サーバやストレージ、ネットワーキングから、OS、仮想環境、アプリケーションまでを含めたITインフラスタックのためであれば、ベンダー選択の柔軟性は諦める」という向きも増えているようだ。
また、コンバージェンスという概念は、最近ではより狭義なストレージ固有の文脈で捉えられている。ストレージアレイはますます複数のプロトコルや作業負荷、データタイプに対応可能となっている。ファイルやブロック、オブジェクトプロトコルなどを単一システムで扱えることから、ストレージ統合の動きはとりわけミッドレンジ市場で進んでいる(関連記事:【製品動向】デスクトップ仮想化を見据え、高性能化するミッドレンジ向けストレージ)。
3. クラウド
次世代ストレージを特徴付ける3番目の要素は、クラウドだ。数社のプロバイダー(とりわけ米Amazon)を除き、サードパーティーのオンデマンドサービスとしてのクラウドストレージは、企業ニーズに応えられているとはいえない。
だが、2013年にはこうした状況が変わる兆しもある。サービスプロバイダーがよりコスト効率の高いストレージクラウドを開発できる基盤が、オープンソースのプロジェクトやプロバイダーという形で現れつつあるのだ。オープンソースのクラウド基盤である「OpenStack」や「CloudStack」の他、オープンソースの分散ストレージシステム「Ceph」のサポートを提供する米InkTankなどへの関心も高まっている。今後はオープンソースモデルの採用が促進されることも予想される。
一方、米Microsoftが最近、クラウドサービス強化のために米ストレージベンダー「StorSimple」の買収を発表した。これを受けて、クラウドストレージへの入り口やクラウドストレージゲートウェイといった新しい機能に対する関心も高まっている。また、クラウドストレージ「Dropbox」の普及がITのコンシューマライゼーションの進展と相まって、IT部門には新たな頭痛の種が生み出されており、ストレージ担当者が対処を迫られている。
当面は大手プロバイダーが優勢
重要なのは、こうした動きはどれも一夜のうちに変化をもたらすものではないということを理解しておくことだ。
数多く存在する新興企業は確かにストレージ業界における革新の原動力となるだろう。実際、2012年にはストレージ分野のベンチャーに10億ドル以上が投資されている。それでも、この業界は依然として少数の支配的な大手プロバイダーに押さえられている(関連記事:2013年のフラッシュストレージ業界、再編淘汰が加速する見通し)。
こうした状況は短期間で変わるものではない。実際、ストレージサイロ間のより良い統合や全体的なコンバージェンスの必要性から、恐らくベンダーの集中化はさらに進むはずだ。
またストレージ分野は変化をなかなか受け入れないことも分かっており、企業のデータセンターにおいて最も保守的かつ危険回避的な分野の1つとなっている。さもありなんといったところだ。
だがここへきて、経済的な必要性が高まり、世間一般の通念や従来の考え方に対する異議も出始めている。2012年にはそうした傾向が若干ながら認められた。2013年も引き続き、現状に対する異議が唱えられることになるだろう。
本稿筆者のサイモン・ロビンソン氏は、米451 Researchのストレージおよび情報管理に関する調査担当副社長。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
3
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
4
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
5
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
6
「高すぎるGPU」を捨てAI推論をCPUへ Armが示す電力とコストの現実解
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
9
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
10
【漫画付き】"RAG導入失敗3例"と処方箋 「入れても使われない」を終わらせる
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー