政府の電力システム改革をITで後押し、日本オラクルが推進室を設置:NEWS
「小売および発電の全面自由化」「発送電分離」の2分野に注力し、海外で培ったシステム活用のノウハウを踏まえたコンサルティング事業や、国内のニーズに対応する電力供給システムを提案する。
日本オラクルは4月25日、政府の電力システム改革を支援する専任組織「電力システム改革推進室」を同日付で設立したことを発表した。政府は4月2日の閣議で「電力システムに関する改革方針」を決定し、国内の電力市場を開放するための抜本的な改革を進めている。
同社の代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏は、電話網の開放によって、新規参入企業や新サービスが隆興するなどして国内の通信市場が活性化したことを引き合いに出し、「今回の改革によって、電力業界のパラダイムシフトが起こる」とコメント。また、米Oracleは欧米諸国やアジア地域における電力自由化や発送電分離、スマートグリッドなどのプロジェクトで既に実績やノウハウがあることを紹介した。今後は、米Oracleの公共事業向け専任組織「Oracle Utility Global Business Unit」と連携し、国内の既存の電力・エネルギー事業者や新規参入を検討する企業、関連官公庁、自治体に向けた情報提供やソリューションの提案を実施する方針だという。
政府は、改革の具体的な内容として「広域系統運用機関の設立」「電気の小売業への参入の全面自由化」「法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由化」(発送電分離)を3本柱に掲げている。
日本オラクルは、3本柱の中で「小売および発電の全面自由化」「発送電分離」の領域に焦点を当て、その実現を支援するという。電力システム改革推進室の室長、田積まどか氏は「“小売・発電の全面自由化”“発送電分離”は特にITが貢献できる領域」と解説。このうち小売・発電の全面自由化では、「新サービスの開始などに伴う“料金請求”“顧客管理”に加えて、導入が進むスマートメーターを含めた“メーターデータ管理”に関するソリューションを提供する」と語った。具体的には、同社の電気・ガス・水道などの公益業界に特化したアプリケーション「Oracle Utilities」を軸に、ERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」「Oracle Hyperion」などのソフトウェア、「Oracle Exadata」「Oracle Exalogic」などのアプライアンス製品群を組み合わせたソリューションを提案する(関連記事:【市場動向】“ハード/ソフト統合システム”に、ユーザー企業の期待大)。
海外では既に導入事例もあり、米カリフォルニア州で天然ガス/電力供給を行う企業、Pacific Gas and Electricがオラクルの顧客情報管理システム「Oracle Utilities Customer Care and Billing」を導入し、業務の効率化と顧客サービスの向上を実現しているという。
一方、発送電分離では、東京電力が4月1日に発電、送配電、小売の3事業を分割するカンパニー制に移行したことを踏まえ、「人事や会計などのグループ経営管理や資材調達、設備保全管理、設備計画の策定などを支援していく」と説明した。
今後、日本オラクルは、海外で培ったシステム活用のノウハウを踏まえたコンサルティング事業、パートナー企業とともに、国内のニーズに対応した電力供給システムを積極的に提案していくという。
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