グリーン・グリッド、“データセンターの省エネ支援”白書を発行:NEWS
データセンターのエネルギー効率を測定するPUEの定義や分析・リポート方法、日米欧で統一した測定ガイドラインなどが掲載されている。また、日本国内のデータセンターの改善活動を表彰するアワードを開催する。
データセンター/IT機器のエネルギー効率改善を推進する団体「グリーン・グリッド日本支部」は5月28日、データセンターのエネルギー効率指標「PUE」(電力使用効率性:Power Usage Effectiveness)に関するホワイトペーパー「PUE指標に関する総括」(日本語版)を発行した。同団体のWebサイトから無償でダウンロードできる。
PUEは、グリーン・グリッド本部(米国オレゴン州)が設立された2007年に同団体が策定した指標で「データセンター(設備)全体の消費電力」を「IT機器の消費電力」で割った値。最もエネルギー効率が良い場合の値は「1.0」となる。公開後も同団体は関係団体からのフィードバックを基に測定手法を改善し、PUEの定義や使用法に関する複数のホワイトペーパーを発行してきた。今回発行した「PUE指標に関する総括」は、これまでに発行した複数のホワイトペーパーの情報を集約したもので、PUEの定義や測定・リポート方法から日米欧で統一した測定ガイドラインまで、多数の情報が幅広く掲載されている。
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環境配慮型へのシフト
同日、グリーン・グリッド日本支部は設立5周年を迎えた。グリーン・グリッド 日本技術委員会 代表 田口栄治氏は「データセンターにおけるエネルギー効率の改善に必要な“効率の見える化”を実現する各種指標、改善に役立つベストプラクティス、支援ツールなどの提供、ホワイトペーパーの発行や各種セミナーの実施など、啓発活動に努めてきた」とこれまでの活動を振り返った。また、「日本でもPUE値を公表するデータセンターが増えてきた。その平均値は“2.0”であり、エネルギー効率のさらなる向上が求められる」と現状を指摘した。
効率化の指標に関して、グリーン・グリッドはPUEの他にも、「DCeP」(データセンターエネルギー生産性)、水や二酸化炭素などを測定する環境負荷指標となる「WUE」(水使用効率性:Water Usage Effectiveness)および「CUE」(炭素利用効率性:Carbon Usage Effectiveness)などを策定してきた。今後は各種指標の分析・リポートツールや教育プログラムの普及促進にも努めるという。
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また、田口氏は「欧米ではデータセンター単体のエネルギー効率の向上だけでなく、公共機関や関係団体などのエコシステム全体で自然環境への負荷を含めた“ゼロエミッション”実現に向けた取り組みが進められている」と解説。さらに「今後はビル管理システム(BMS)で計測していた設備情報と、IT機器の運転状態やネットワーク状態などのIT情報を統合的に監視・制御するシステム“DCIM”が重要になる」と語った。
グリーン・グリッド日本支部では、特に「DCMM(データセンター成熟度モデル)」に注力するという。同団体が2010年に策定したDCMMは、データセンターにおけるエネルギー効率と持続可能性を改善するために必要な目標や方向性を把握できるツール。現在のベストプラクティスから今後5年間のロードマップを提示し、イコライザーを使用して電力や冷却装置、サーバ、ストレージ、ネットワークなどデータセンターの主要コンポーネントのベンチマークを実施して現在の達成度をレベル0〜5の6段階で判定する。このモデルを活用することで、高度な統合型運用管理の実現に役立てられるという。
改善活動を表彰するアワードも実施
グリーン・グリッド日本支部は同日、「グリーン・グリッド データセンター・アワード 2013」を実施することを発表した。このアワードは、エネルギー効率の向上に取り組む団体や企業を表彰するもので2010年に創設。今回で4回目の実施となる。日本国内のデータセンターを対象に、エネルギー効率の改善に6カ月以上取り組み、グリーン・グリッドが推奨する評価基準「PUE」と「DCiE」(データセンターインフラ効率性:Data Center infrastructure Efficiency)を活用した改善の前後で、定量的にデータを計測していることが条件となる(関連記事:グリーン・グリッドが国内データセンターの省電力活動を表彰、最優秀賞に輝いたのは?)。同団体の特設ページで応募を受け付けている。
アワードの評価基準は「定量化」「目標設定と計画性」「継続性」「社会貢献性」「独創性」の5項目。それぞれを最大20点とする加点方式で、業界団体や協力メディアで構成される審査委員会が審査する(応募期間は2013年5月28日〜11月15日)。受賞発表は12月初旬の予定。
グリーン・グリッド 日本マーケティング委員会代表 吉見顕史氏は、「アワードの評価は指標値の絶対値の対比ではなく、エネルギー効率に向けた継続的な改善に取り組む努力を審査する」と説明。また今回から、従来の「最優秀賞」「優秀賞」に加えて、「ベストユーザー企業賞」「イノベーション賞」などを新設。「ユニークな改善活動を実践する企業を表彰することで、日本のデータセンターにおける優れたエネルギー効率の改善活動を広く紹介し、改善運動を一層盛り上げていきたい」と語った。
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