厳しいセキュリティ基準を満たした保険会社のBYOD事例:BYODソリューションの選び方
保険会社の英Hamilton FraserがMobileIronを採用した決め手は、分かりやすいGUIとネットワークからの端末の撤去機能だった。
保険会社の英Hamilton Fraserは、全社規模でBYOD(私物端末の業務利用)計画を展開するに当たり、米MobileIronと契約した。
Hamilton Fraserは住宅保険を専門とし、英政府が2006年に導入した敷金を保護する制度(tenancy deposit protection scheme)の下で政府の主要な提携先の1つになっている。この制度では、不動産物件から賃貸人が退去する際に何らかのトラブルが発生した場合に、貸主と借主の両者に対して、そのトラブルの解決に当たる中立的な調停人が割り当てられる。
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Hamilton Fraserの本社はロンドン北部のバーネットにあり、125人の従業員がいる。同社ではテクノロジーに力を入れていて、23人のIT関連職員を擁している。
Hamilton FraserのIT管理者、ピート・アガサンジェロウ氏は、「私は、テクノロジーは常に変化しているという事実を重視している」と話す。「弊社のような企業にとって、また将来パートナーになる可能性がある企業および顧客をはじめ弊社がサービスを提供する相手にとって、ビジネスのレジリエンス(回復力)とセキュリティは、信頼性という点で極めて重要だ。従って、私がソリューションを検討する際は、ソリューションがレジリエントでセキュアであるかどうかが非常に重要な判断基準になる」
さらにアガサンジェロウ氏はセキュリティ対策の重要性を強調する。「これはもろ刃の剣だ。テクノロジーの進展は目覚しいが、それはセキュリティの脅威も同じだ。弊社には政府との契約があるため、特にISO 27001へのコンプライアンスに関して、万全のセキュリティ対策を講じる必要がある」
BYODの解禁
アガサンジェロウ氏は、オフィスの環境に変化が現われ始めた2012年に、BYODの検討を始めた。
「若い社員たちが昼休みに、モバイル端末を使ってゲームをしたりソーシャルネットワークを使っていた。さらに、外出中にメールを使いたい上級管理者たちも、モバイル端末を活用していた」とアガサンジェロウ氏は話す。
「どちらのシナリオにもリスクがある。適切に管理しなければ、不満を抱える社員が(腹いせに)メールを勝手に外部に送ることなど簡単だ」
Hamilton Fraserは既にモバイルに対応しており、社有のiOS端末(iPhoneとiPad)を導入していた。iPhoneとiPadを選んだのは、どちらもコスト効率がよく社員の間でも人気が高かったためだ。
「何が使えるかを調べてみた。比較的小規模な会社としては、iPhoneとiPadのコストはまずまずだった」とアガサンジェロウ氏は話す。一方、全社規模でのBlackBerry導入コストは、小規模企業にとっては容認し難いという。
しかし、Hamilton Fraserのネットワークで社員が使っている端末はApple端末だけではなかった。
「ユーザーが持ち込む端末の種類はコントロールできない。特に役員や事業開発の社員の間では、間違いなくiOSが圧倒的に人気だ。だが同時に、スマートフォンの出荷数が最も多いのはSamsungだという事実は無視できない。つまり、Androidの利用者も相当数いる」とアガサンジェロウ氏はこぼす。
「どのような端末にも安心して対応できるソリューションが必要で、コストだけが売り物ではないソリューションを選びたかった」
製品選定とその理由
2012年9月に、アガサンジェロウ氏は部下に依頼して、既存の問題の規模を特定し、未承認の端末を使って会社のネットワークにアクセスする問題に対応できるベンダーをリストアップした。
有料のソリューションと無料のソリューションの両方を対象に評価を始め、Hamilton Fraserの環境に最も有効なソリューションを検討した。そして2、3カ月にわたる調査の結果、最適だと判断した製品に行き着いた。
続きはComputer Weekly日本語版 2013年7月10日号にて
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