もう一目ぼれで失敗しない、「スマホ、クラウド、SNSの正しい選び方」:ユーザーのニーズにどう応える?
一般ユーザー向けの製品を業務でも利用する時代において、企業は新しい基準でIT製品を選ぶことが求められる。スマートデバイス、クラウドサービスなどの選び方を説明する。
IT部門はユーザーのニーズに向き合い、一般消費者がトレンドを先導する“コンシューマライゼーション”時代において、従業員が求めるツールやサービスを実現していかなければならない。セキュリティやコスト面で会社をリスクにさらすことなく、エンドユーザーのニーズに適合する新技術を評価する必要がある。そのためには、見識に富む俊敏な計画が欠かせない。
「エンタープライズ技術の場合、一目ぼれが必ずしも、その後長続きする関係に向かうとは限らない」。2013年6月に開催された「E2 Conference」のプレゼンテーションで、米調査会社Real Story Groupのアナリスト、トニー・バーン氏はそう語った。「たとえ、いとこのヴィニーが紹介してくれたにしても」
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「IT部門は、モバイルやクラウドコンピューティング、ソーシャルツールといった新しい技術のベンダーの評価に、テストを前提とした俊敏な選定手法を導入すべきだ」とバーン氏は指摘する。「そうしなければ、たくさんの業界用語を繰るクールな新興ソフトウェアベンダーに太刀打ちできない」
では、IT部門が取り組むべき課題は何か。それは、ベンダーの誇大宣伝には耳を貸さず、自社のユーザーや固有のインフラにとって最良のテクノロジーを見いだすことだ。
「“ベストフィット”のソリューションだと思っても、実際に紙の上で十分に説明できなければ、なかなか前に進めない」とバーン氏。「しかし、さまざまなベンダーの製品を試さないかぎり、どれがベストフィットなのかは分からない」
技術選定プロセス
「新しい技術分野のベンダーを選択するプロセスにおいては、技術に関するIT部門の考え方を変えなければならない」とバーン氏。IT部門は、技術を長期的なプラットフォーム、あるいは追加可能なスイート製品という視点で捉える。一方でITのコンシューマライゼーションは、従業員たちがファイルを同期するために、Dropboxなど特定の問題を解決する特定のアプリケーションを求めることから始まった。
今日のエンドユーザーのために技術を選択するに当たっては、従来と異なるアプローチが必要だ。選定プロセスでは、実際にベンダーを選ぶ前に、候補となる2、3種の技術の概念実証(POC)から始めなければならない。
選定プロセスにより多くの時間をかけることは、特に俊敏で反復的なプロセスの観点からみた場合、はじめは直感に反しているように思えるかもしれない。しかし、このアプローチは結局、よりスピーディなパイロットプロジェクトの始動へとつながる。選定期間を通して、より多くの努力が払われるため、実際の導入段階において不測の事態に見舞われることが少ないからだ。
そうした迅速な選定の手法は、リストアップした10ないし12社の候補ベンダーから3ないし4社のベンダーに絞り込むことから始まる。次に、残ったベンダーが提供する技術を実証する段階に移る。このプロセスでは、IT部門が用意した自前のテストツールを用いる必要がある。ベンダーが提供するテストツールは、「テスト期間の95%は正常に機能する」(バーン氏)ものだからだ。
次に、IT部門は、ソフトウェアが自社の環境にどう適合するかを理解する必要がある。実証段階が終了したら、直接対決でPOCコンペを行うにふさわしい最も優れたビジネスユースケースシナリオや技術、パートナーエコシステム、価値の組み合わせを提供するベンダー2社を残す。ソフトウェアバグ、ユーザーの不満、予見できるデータ統合問題などは全て、POCの過程においてベンダーやDevOps(開発担当+運用担当)チームが連携して解決しなければならない。
「従業員は自分たちがどのようなツールを利用しているか、それほど気に掛けない」とバーン氏は語る。「彼らが求めるのは、職場で注目され、仕事に効果と効率をもたらしてくれるものだ。彼らは”Hadoopを待ちきれない”などとは言わない」
そして反復的な選定プロセス全般を通して、IT部門はSLA(サービス品質保証)や契約期間、料金、その他の項目について、より自社に有利な条件を引き出すべく、ベンダーと交渉しなければならない。
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