F1マシンの挙動をリアルタイム分析するMcLarenのHANA活用事例:McLarenのテレメトリーは医療にも応用
SAP HANAを導入し、F1マシンのテレメトリーデータなどのリアルタイム分析に活用している名門チームMcLaren。同社の分析技術はF1だけでなく医療や自転車競技、ラグビーといった分野にも展開されている。
英McLaren Groupは、競争力格差(コンペティティブエッジ)を生むべく、高速データ分析を活用している。McLarenはF1マシンとレーシングチームで有名だが、英バーミンガム小児病院での医療監視システムや、サンフランシスコの高速鉄道BARTのテレメトリー(遠隔測定)システムにもMcLarenの技術が使われている。
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McLarenのスチュアート・バーレルCIO(ロンドン・ガトウィック空港の元CIO)は、同社のレーシングチームが取り組み始めた、SAPのインメモリデータベースHANAの活用方法を次のように話す。「まだテストモードだが、これまで満足できる時間で取得できなかったさまざまなデータに、アクセスできるようになる方法を模索している」
McLaren GroupといえばF1レースだ。McLarenはテレメトリーシステムを用意して、レーシングカーのセンサーが生成するデータを処理している。各車には160個のセンサーがあり、1レース当たり1Gバイトの生データが生成される。McLarenはHANAを使って、そのデータを過去データおよび予測モデルと組み合わせて、リアルタイムに分析している。分析結果は、サーキットのガレージと英ウォーキンガムにある管制室に送られる。
「“過去3年間で、このサスペンションストラットをこんな設定で使ったレース全て”を表示するクエリを実行できる。従来のデータベースなら、このようなクエリはなかなかできない。処理には数時間かかるだろう。最上位層で数値解析ソフトウェアのMATLABを使い、流体力学、風洞、テレメトリー時系列データなどのモデリングと比較している。先ほどのクエリの場合は、100ミリ秒で130億個のデータポイントが返された」(バーレル氏)
レーシングチームは、金曜のテスト走行から、土曜の予選、日曜の決勝まで、かなり緊迫した時間の中で問題を解決しなければならない。特定のコーナーでアンダーステアが出るなどの問題を、短時間で解決するクエリの構築にHANAが威力を発揮することを期待している。
McLarenでは、会社が成長した結果、効率化を実現するために何らかの施策が必要な状態になっていたことが、大々的なSAP導入につながったようだ。「職務の枠を超えた共通のプロセスが必要であり、応用技術、自動車、エレクトロニクスという製造サイドの3事業間でプロセスと管理を統一する必要があった。しかし、それがビジネスの足かせになってはならない。アジリティは維持する必要がある」と、バーレル氏は語る。
「ただし、このアジリティを確保するにはコストが掛かるので効率化が欠かせない。バランスを取って事を進める必要がある。拙速に、行き過ぎた自動化をするわけにはいかず、まずは予測可能性を確保しなければならない。徐々に発展させる必要があり、タイミングが鍵になる」
McLarenは、全面的にSAP Business Suite powered by SAP HANAの採用を決めた、SAPの最初のリファレンスカスタマーの中の1社だ。2013年5月に米国オーランドで開催された独SAPの年次カンファレンス「SAPPHIRE NOW 2013」でのインタビューで、バーレル氏は「HANAシステムは、今こうして話をしている間にも、独ヴァルドルフで開発が進められている」と語っている。それから18カ月をかけて、フルデプロイが実施される予定だ。
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