デジタル教科書ビュワーを大手12社が共同開発、操作性統一狙う:NEWS
OSや端末、出版社によって操作方法が異なるデジタル教科書。その状況を改善すべく、教科書出版大手12社が新組織を設立した。操作性を統一したデジタル教科書用ビュワーを開発する。
教科書出版大手12社が、デジタル教科書用ビュワーの開発で手を組んだ。2013年9月5日に、デジタル教科書コンソーシアム「CoNETS」を発足。日立ソリューションズの協力を得ながら、クライアントPCやタブレットでデジタル教科書を閲覧できるビュワーを共同で開発する。このビュワーを搭載したデジタル教科書の販売開始は、小学校用が2015年、中学校用が2016年、高等学校用が2017年。
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CoNETSが開発するビュワーは「CoNETSデジタル教科書専用ビューア」という。教育現場への普及率が高いWindows 7/8端末用とiPad用を先行して開発。Android端末用は「現状ではAndroid端末を採用する教育機関が少ないため開発を見送ったが、採用が進めば開発を検討する」(日立ソリューションズ 公共システム事業部の真山美樹氏)。現在導入が進みつつある教員用のデジタル教科書向けだけでなく、児童・生徒用向けにも開発する。
CoNETSデジタル教科書専用ビューアは、ユーザーインタフェースや操作性を対応OS間で統一する。「現状のデジタル教科書は、OSや端末、教科書出版社ごとに表示方法が異なる。これが教員や児童、生徒の戸惑いの元になっていた」(光村図書出版 企画開発本部 開発部長の森下耕治氏)。HTML5などを使ったWebアプリケーションは「パフォーマンスに難がある」(真山氏)ことからクライアントアプリの形式を採用した。
発足時にCoNETSに参加する教科書出版社は、大日本図書、実教出版、開隆堂出版、三省堂、教育芸術社、光村図書出版、帝国書院、大修館書店、新興出版社啓林館、山川出版社、数研出版、日本文教出版の12社(写真)。教科書出版最大手とされる東京書籍は、現時点では参加していないが、「今後は幅広い教科書出版社の参加を募る」(森下氏)。上記12社に日立ソリューションズを加えた13社でCoNETSを組織する。代表は光村図書出版 代表取締役社長の常田 寛氏が務める。
CoNETSの事務運営費は13社でまかなうが、CoNETSデジタル教科書専用ビューアの開発費は日立ソリューションが大半を負担する。日立ソリューションズは、CoNETSデジタル教科書専用ビューアのライセンスをCoNETS参加の教科書出版社に付与し、同ビュワーを搭載したデジタル教科書の販売数に応じたライセンス料金を受け取る。
CoNETSデジタル教科書専用ビューアを搭載したデジタル教科書の販売計画は「参加各社が独自に立てる」(森下氏)こともあり、CoNETSは同ビュワーを搭載したデジタル教科書の普及に定量的な目標を立てていない。ただし、幅広い端末で共通した操作感で使えることを教育機関や教科書出版社に幅広く訴求し、「デジタル教科書の業界標準を目指す」(森下氏)。
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