PCの代わりになれないタブレット、新し過ぎるWindows 8
Windows XPからWindows 8へ移行しない人の言い分
PC市場の縮小が止まらない。原因をタブレットに求める声もあるが、事態はそう単純ではないようだ。Windows XPサポート終了など幾多の要因が絡むPC市場の先行きはいかに?
世間では高性能なスマートフォンやタブレット、ハイブリッドPC(タブレットにもなるノートPC)がもてはやされ、世界のクライアントPC出荷台数はこの1年で落ち込んだ。
2012年第2四半期から2013年第2四半期にかけて、世界のクライアントPC出荷台数は約8500万台から約7600万台へと減少し、前年同期比で11%減となった。
コンシューマーがクライアントPCから価格の低い米GoogleのAndroidまたは米AppleのiOS搭載端末に切り替えているとしても、これらの数字は市場の全容を伝えてはいない。実際のクライアントPC市場は、数字から受ける印象ほど悪くない。アナリストによると、企業のクライアントPC依存は今後も続くという。
「第2四半期(4~6月)は、一般的には売り上げが伸びない時期だ」と、米IDCでディスプレー関連リサーチを担当するボブ・オドネル副社長は話す。「第3四半期(7~9月)は、(米国などで)新学年が始まる時期と重なるため、持ち直してくる傾向がある。第4四半期(10~12月)は、12月が会計年度末に当たり、アップグレードの必要性を感じる企業があるため、好調になる」
オドネル氏によると、クライアントPC出荷台数の落ち込みは、ヨーロッパと中国の不況も影響しているという。
「これらの数字にはだまされる」と話すのは、米Gartnerの主席アナリスト、北川 美佳子氏だ。「デスクトップ端末は他の端末よりもセキュリティが高く、パフォーマンスもよいため、ビジネス分野では今でもよく利用されている」
オドネル氏も、「多くのビジネスアプリケーションはクライアントPCで実行する方がよい。クライアントPCは画面も大きく、大半のユーザーは物理キーボードを好むため、企業では現在もタブレットよりクライアントPCが使われている」と話す。
デスクトップPCは寿命も長い。
「デスクトップPCは、設置場所から動かされないため、ノートPCと比べて壊れにくい。ノートPCは画面部分を繰り返し開閉したり、飲み物をこぼしたことが原因で壊れる可能性がある。あるいは、ユーザーが移動中に紛失する可能性もある」(北川氏)
タブレットはPCの代替にはならず
北川氏によると、企業がクライアントPCに代えてタブレットを購入することは珍しいという。
「タブレットを導入している企業はまだ多くない。ほとんどの企業は出費を最小限に抑えようとするため、タブレットに資金を投じたがらないからだ。ただし、遠隔地や現場で作業をする少数の従業員のためにタブレットを購入する可能性はある」と北川氏は話す。
仕事にタブレットを使っているユーザーは多い。BYOD(私物端末の業務利用)制度の一環として、タブレットの業務利用を認める企業はますます増えている。だがタブレットやハイブリッドPCは、デスクトップ端末の代わりに使われているわけではなく、あくまでも補助的な位置付けだ。
「企業はデスクトップ端末なしにはやっていけない。ただし、デスクトップ端末に加えてタブレットを使うケースは一般的になってきている。現在、BYODを採用する企業は多く、今後さらに増えるだろう」と、オドネル氏は語る。
多くの企業がBYODの仕組みを理解しているし、今後2~3年のうちに、大企業のほとんどは何らかのBYOD制度を導入するだろう。
現在最大のシフトは、Windows XPからWindows 7(Windows 8がリリースされているが)への切り替えだ。このシフトによって、今後数四半期、特に2014年4月のWindows XPのサポート終了以降のクライアントPC出荷数が増加する可能性があると、オドネル氏は予想する。
「現在、このシフトの最後の山場に差し掛かっている。新しいハードウェアを調達するか、既存のマシンをアップグレードするか、または第3の選択肢としてデスクトップ仮想化に進むかを、企業は決断しなければならない」(オドネル氏)
Windows 8へ移行するなら、新しいクライアントPCが必要になるケースが多いだろう。だがWindows 8は、現時点ではさまざまな理由から移行対象になっていない。
「Windows 8を導入している企業はあまり見掛けない。Windows 8は(これまで企業が利用してきたシステムと)根本的に異なるため、状況を難しくしている。Windows 8は8.1で改良されるだろう。その時点でWindows 8の導入を検討する企業が増える可能性はあるが、まだ課題がある。Windows 7は本当によくできている」
Windows 8が新し過ぎる製品だというのも理由の1つだ。
北川氏は、「プログラムが新しいOSで動くかどうかをテストする必要がある。テストには、約8カ月~1年かかるのが普通だ」と指摘する。2013年の第2四半期に最も打撃を受けたクライアントPCメーカーは、台湾のAcerとASUSTeK Computerだ。Garterのリポートによると、2012年第2四半期~2013年第2四半期の市場成長率は、Acerがマイナス35.3%、ASUSはマイナス20.5%だった。
どちらもコンシューマー市場に傾注し過ぎた。AcerもASUSもヨーロッパと中国で人気がある。だが両地域とも不況のため、現在は企業にとって新しいコンピュータを購入する最適なタイミングではない。
米Hewlett-Packard(HP)と米Dellも、2013年第2四半期の市場成長率はマイナスだったが、AcerやASUSほどではない。HPは先ごろ、クライアントPCの提供継続を再確認した。ただしGartnerによると、2012年第2四半期~2013年第2四半期のHPの成長率はマイナス4.8%、Dellは同期間でマイナス3.9%だった。
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