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「データと直感、どちらが大切か?」が不毛な議論である理由:直感の排除は成功に直結しない
直感に依存しない、データを基にした意思決定を目指すべき――。こうした考え方をする企業が増えつつあるが、直感を排除しても成功が保証されるわけではない。
読者の中には『Lean Startup(邦題:リーン・スタートアップ)』(エリック・リース著)という本のことを耳にしたことがある人もいるだろう。その中で著者が述べているのは「試作品を作り、製品を市場に投入し、潜在市場での評価を仰ぐという一連のプロセスを素早く実行する新興企業は、競争で優位に立てる」という考え方だ。こうした企業は、完璧な製品を仕上げるのに時間を費やすのではなく、「仮説」「テスト」「学習」「修正」「完成」というインタラクティブなサイクルを通じて競争をリードするのだ。今日、この考え方は大手企業の間でも大きく注目されている。
だがデータサイエンティスト(あるいは多少の観察眼を持った人)であれば誰でも、仮説と検証が有効に機能するためには、きちんとしたデータが必要であることを知っている。これについては、「Lean」シリーズの最新刊となる『Lean Analytics: Use Data to Build a Better Startup Faster」という本が参考になる。著者のアリステア・クロール氏とベン・ヨスコビッツ氏が強調しているのは、優れた指標の重要性だ。両氏によると「ビジネスの成長(IT部門の発展と言い換えてもよい)に不可欠なのは、製品の過大評価につながるマーケティング部門の独善的な数字ではなく、客観的な指標」なのだという。
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