CIOは自身とデータセンターの役割の変化に備えよ:データセンター運営はCIOの仕事ではなくなる
現状把握に加え、適切なテクノロジーの選定と事業戦略への整合(アラインメント)が、CIOの中心的な職務になるだろう。
2020年まではどのビジネスでも、莫大なコンピュータパワーを利用することが成功の要になる。しかし、データセンターと、恐らくはこれまでデータセンターを任されてきたITリーダーの役割は大きく変わるだろう。
カルロタ・ペレス氏は、テクノロジーと社会経済史学を専門とする研究者で、『Technological Revolutions and Financial Capital: The Dynamics of Bubbles and Golden Ages』の著者である。ペレス氏によると、将来のCIOの役割は、変わっていくという。
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ペレス氏は、「CIOは、外部プロバイダーから提供された新しいテクノロジーを自社に導入するという“供給プッシュ”型の役割から、会社の戦略的ニーズを見定め、ITにより製品やサービス、または市場が強化されるものを開発または特定することにフォーカスする“需要プル”型へと進化している」と言う。
つまり、さらに重要でダイナミックな役割がCIOに与えられることになる。新しい役割では、ビジネスの成功に対するCIOの貢献が完全に認識され、多くの場合は役員レベルのランクになるだろう。「CIOは、会社が進む可能性がある道筋を誰よりも遠くまで見通す、トップマネジメントの1人になる」というのがペレス氏の読みだ。
つまり、設備のエネルギー効率や技術的能力を気に掛けるのではなく、これまでより格段に広い範囲でビジネスの問題に取り組むことになる。
「概してデジタルの世界を会社がどのように利用するか、また、会社の製品やサービス、組織、マーケティング、流通をどのように変革できるかについての問題を中心に、CIOはフォーカスすることになるだろう」(ペレス氏)
より重要な役割に
英Domino's Pizzaのコリン・リース氏(訳注)も同意見で、データセンターの運営をコア事業とする企業にデータセンターの管理を任せるようになるため、2020年のCIOには、より重要な役割が与えられると見ている。
訳注:「Computer Weekly日本語版 2013年7月10日号:Googleのサービスは企業で使えるか?」に同氏へのインタビューを掲載している。
CIOの役割は拡大され、ビジネス色が強くなるだろう。そうなると、技術関連の活動全ての現状を把握していくことは格段に難しくなる。そこで、適切なテクノロジーを選定し、事業戦略に整合させること(ビジネスアラインメント)に、CIOは多くの時間を割くようになるだろう。「これは、ほそぼそとした仕事のやり方を学ぶことや、データセンターを運用することよりもはるかに重要になる」とリース氏は言う。
1年前にDomino'sのデータセンターはアウトソースされた。現在、同社のインフラの半分はホスティングサービスを、残り半分はクラウドを利用している。リース氏はクラウドのトレンドは今後も続くと見ている。
「以前は自分たちで全てを運用していた。問題は、われわれよりもデータセンターの管理に長けている企業が多数あるのに、自分で冗長電源をいじっていたいのか? ビジネスにフォーカスする必要はないのか? ということだった。われわれ自身がデータセンターを運用する最適なチームだとは思えないので、ビジネスアラインメントを考えて、アウトソーシングを決めた」とリース氏は説明する。
開発、テストサービス、障害復旧はクラウドに移行しているが、基幹部分とWebサービスは、まだクラウドに移行していない。
「サポートインフラが整い、クラウドの課題を理解できたと確信が持てるようになるのは時間の問題だ。クラウドがデータセンターの未来であるのは間違いないが、移行はタイミングと経験次第だ。20年後にはインフラについてさまざまな考え方があり、極めて高い柔軟性を軸にしたものになるだろう」(リース氏)
アプリの未来
リース氏は、高速インターネットが家庭でも仕事でも一般的になるにつれ、アプリとデジタル経済、そして新たなチャンスを最大限活用することが、未来のカギを握ると話す。
「社内のエネルギーは、新しいモバイルアプリ開発、ピザを注文すると映画をダウンロードできるDomino’s Pizza Box Officeなどの新たなビジネスチャンス創出に注いでいる。モバイルでの売り上げが増えているので、サーバやデータセンターに社内ITの時間を使いたくない」
「このトレンドは続くだろう。今はどこも初期段階にある。オンラインのテレビサービスの増加など、家庭で現在起きている変化とデータセンターでの変化は、私たちの考え方を変えている。データ保護の観点から、どこからソフトウェアが実行されているかを気にすることはあっても、何がソフトウェアを実行しているかなど誰も気にしなくなる。弊社では、顧客にサービスを提供するチャンスにさらに気を配るだろう」
リース氏は、クラウドが進化したら、いずれは電子POSシステムさえもクラウドに移行することを考えている。「ストアのリフレッシュを行い、700の新システムを設置したばかりだが、ネットワークの帯域幅と信頼性が上がりさえすれば、そのようなことはせず、クラウドに移行するつもりだ」とリース氏は言う。
最高デジタル責任者(CDO)の設置
続きはComputer Weekly日本語版 2013年9月11日号にて
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