クラウドによるB2Bサービス提供を選んだ英移動体通信事業者:ベストプラクティスとノウハウをパッケージ化
英移動体通信事業者Carphone Warehouseで、エンタープライズアーキテクチャディレクターとB2B部門担当CIOを兼任するデビッド・バーン氏に話を聞いた。
「Connected World Services」(以下、Connected World)は英移動体通信事業者のCarphone Warehouseが提供するB2Bサービスで、PaaS(Platform as a Service)の形で提携企業に提供される。ITを統括するデビッド・バーン氏は、Carphone Warehouseのエンタープライズアーキテクチャディレクターと、 Connected World事業担当のCIOという2つの顔を持つ。
Carphone Warehouseは、主にB2C(企業・コンシューマー間)分野で事業を展開している。しかし、例えば2003年にTalkTalkブロードバンド事業に乗り出すなど、「他分野でも面白い動きをしていて、成功を収めている」(バーン氏)という。
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Connected Worldは、Carphone Warehouseの顧客が必要とする全ての通信ニーズに応えるワンストップショップとなる。Carphone Warehouseは通信サービスを提供する法人向けテレコム事業も運営しているが、バーン氏によると「コアビジネスはうまくいっているようだし、弊社は同様の事業を展開したいと考えている他の企業に常に関心を寄せていた。Connected World(つながりあう世界)を実現したいという非常に大きな野望を抱いている」という。
そこでCarphone Warehouseは、英チェーンストアのTescoが新しい地域への事業展開を短期間で実現するために、ベストプラクティス、テクノロジー、サービスをセットにした“Tesco in a box”戦略を打ち出したように、移動体通信事業者として自社のノウハウのパッケージ化に取り組んでいる。
Carphone Warehouseは、携帯電話小売の知識をConnected World PaaSを通じて提携事業者に提供する予定だ。提携先の事業者はConnected World PaaSを使って、独自の携帯電話小売の業務オペレーションを構築する。
「Connected Worldは、24年にわたってCarphone Warehouseの業務オペレーションに取り込まれてきた専門知識とプロセスの全てをリテーラー、OEM、ネットワーク事業者が利用できる仕組みだ」とバーン氏は説明する。
初期の提携先の1つは、米国の大手小売りチェーンBest Buyだ。この提携によって、Carphone Warehouseのビジネスコンピタンスと携帯電話小売のノウハウが、大西洋を超えて米国にもたらされることになった。
「以前は自社のスタッフを出して提携先の業務に就かせていたが、もっと効率の良い方法を考えていた。その最適解がConnected Worldだ。このパッケージに、ノウハウとビジネスプロセスを詰め込んだ」とバーン氏は説明する。
プロセスをカスタムITにひとまとめ
携帯電話を販売する場合、端末とネットワーク契約の両方を販売する必要がある。このビジネスプロセスが、Carphone Warehouseが開発したカスタムITにひとまとめにされている。ただしバーン氏によると、取引を記録するためのERP機能は用意していないという。
端末とネットワーク契約のセールスは、カスタムメイドのバッチシステム(コラム参照)で処理される。ビジネスの観点で、従来のやり方を変えるべき説得力のある理由を提示できないからだ。
「リテールのIT投資では価値実現までの時間をいかに短くできるかが重要だ。そこで、全く問題なく機能しているシステムを、機能性は同じで別のシステムに置き換えることで、IT部門側はTCO(総保有コスト)を削減できる可能性がある。しかし、株主には何の価値ももたらさない。そのため、現行のシステムの置き換えをうまく主張するのは難しい」とバーン氏は説明する。
Carphone Warehouseの小売業務には、モバイル通信ネットワークのユーザー獲得も含まれる。バーン氏は、「携帯電話小売では、業務プロセスの各段階に、それぞれ特有のリスクがある。それを予測可能にし、問題を予防する必要がある」と話す。これには、モバイル事業者に正しい情報を提供する以上の取り組みが必要だ。「われわれが、適切な信用照会や不正検出の仕組みを提供できれば、顧客の通信サービス契約時の審査がよりスムーズに進むだろう」
新規顧客の携帯電話契約のビジネスプロセスにこのような仕組みを組み込むことも、Connected Worldの狙いのうちだ。
「手順はコンパクトにし、それをPaaSを使って必要な規模で展開する。弊社が予測可能で信頼できるプロセスを用意すれば、全ての提携先が予測可能で信頼できるサービスを利用できる」
また、ビジネスプロセスを改良する場合は、1回展開するだけで、全ての提携先が新しいプロセスを利用できる。
Connected Worldは、代表的な新しいITアーキテクチャを基盤としているという。
「Connected Worldは世界中のユーザーが導入できる必要がある。このアーキテクチャを採用した最大の理由は、提携先が事業を展開するどんな地域にも、サービスを提供できる必要があるためだ」バーン氏は説明する。
クラウド向けの開発
Connected Worldの開発には、エンタープライズアプリケーションを、プレゼンテーション(ユーザーインタフェース)、ビジネスルール層、ビジネスルールを実行するアプリケーションサーバに分ける従来の三層アーキテクチャを採用しなかった。
続きはComputer Weekly日本語版 2013年10月9日号にて
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