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英国版『マネーの虎』出身のリニー氏「今後ITが進むべき道はパブリッククラウド」なぜパブリッククラウドなのか?

今後ITが進むべき道とは何か? プライベートクラウドを「疑心暗鬼の産物」と断じる起業家ピアーズ・リニー氏は、パブリッククラウドの優位性を主張する。

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Computer Weekly

 英テレビ局BBC Twoの番組『Dragon's Den』(訳注)の最新シリーズで、見事「マネー成立」を勝ち取って巣立った英国のクラウドコンピューティングの起業家ピアーズ・リニー氏。同氏は、クラウドがITの利用形態を根底から変えており、ITと通信の提供手段の大半が、オンプレミスやマネージドサービスプラットフォームからクラウドに切り替わると見ている。

訳注:日本テレビで放送されていた『マネーの虎』の英国版。

Computer Weekly日本語版 2013年10月23日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年10月23日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

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 英Computer Weeklyによるインタビューの中で、リニー氏は「クラウドはITの情勢を変えている。エンタープライズITはテクノロジーを購入するモデルから、ITサービスの調達へと切り替わりつつあり、これが、ITの利用形態を変えている」と語っている。

 リニー氏は、オンプレミスやマネージドサービスを展開するモデルからクラウドベースのモデルへと、情報通信技術(ICT)の導入形態の切り替わりに応えて、2007年にクラウドコンピューティング会社、英Outsourceryを立ち上げた。リニー氏は同社で共同経営責任者を務めている。

 リニー氏によると、コンシューマーのIT利用はFacebook、Skype、iTunesなどのサービスの登場で数年前に変化を遂げているが、ビジネス界ではようやくITのアプローチを変え始めたところだという。

時間がかかる企業の計画

 しかし、なぜエンタープライズ市場では、IT利用の新たなモデルが受け入れられるまでに時間がかかっているのか?

 リニー氏は次のように答える。「コンシューマーとは流儀が違うからだ。コンシューマーなら、アプリケーションが動かない場合、お茶でも飲んでひと息入れて、別のサービスに切り替えればよい。しかし、企業の場合はSLA(サービス品質保証契約)を計画しなければならないし、堅牢なITプラットフォームを用意してダウンタイムを最小限に抑える必要がある。これには時間がかかる」

 かといってリニー氏は、社内ITとコロケーションやマネージドサービスを完全に切り捨ててはいない。「マネージドサービスモデルはなくなるわけではない。クラウドはこのモデルとはかなり異なる」とコメントしている。

 企業のIT担当者は、インフラを社内でホストするか、コロケーションサービスを利用するか、はたまたサードパーティーのデータセンタープロバイダーが管理する専用のインフラに全てを委ねるかを選ぶことになる。

 「しかし、クラウドは基本的に共有サービスプラットフォームであり、ユーザー企業がプロバイダーのデータセンターのインフラを専有することはない」

 これはよいことだ。なぜなら、共有サービスを活用することで、クラウドプラットフォームは総保有コストの削減、運用のアジリティ(敏しょう性)、生産性、拡張性の確保などのメリットを提供できるからだ。

 リニー氏は、今の時代はハードウェアを所有し管理することは誤った戦略だとして、次のように話す。「ITインフラに投資をすることは理にかなわない。大掛かりなMicrosoft Exchange用のサーバを購入している企業は、それがその会社にとっての最後のITハードウェアの購入になるかもしれない」

全体像を理解する

 しかし、Netflixなど堅実なクラウド戦略を採用している多くの企業が、ダウンタイムやクラウドプラットフォームの停止による影響を経験している。リニー氏は、クラウドの停止はまれにしか発生しないために注目を集めると考えている。「しかし、全体のアップタイム、信頼性、セキュリティ、パフォーマンスを考えると、企業独自のプラットフォームよりもクラウドの方がはるかに優れている」(リニー氏)

 だが、論点はシステム停止だけではない。オンプレミスのインフラを運用するよりもクラウドの方が費用が掛かるため、クラウドを避けている企業もある。過剰なリソースのプロビジョニング、容量要件の見積もり不足、クラウドの即時のスケーラビリティの必要性などが相まって、コストを押し上げる。

 「雨漏りする屋根の下で数台のサーバを運用するのなら、当然クラウドよりも安上がりになる」とリニー氏は言う。「本当の意味では、クラウドが割高になることはないはずだ。企業は、総合的な観点で投資のリターン(ROI)を考慮し、ビジネスの生産性にクラウドがもたらす影響を理解する必要がある」

 「企業は、クラウドを通じてユニファイドコミュニケーションなどのテクノロジーを利用できる。これは、社内ITでは決して手に入れることはできない。企業は、クラウドのROIを計算する場合、このような点を考慮する必要がある」

 「CIOは、社内にコンシューマー向けテクノロジーを導入するのに最適な方法はクラウドを利用することだとようやく気付き始めた」

 クラウドに大きな弾みがついたのは、大企業と公共機関がクラウドを採用した結果だが、クラウドは利用者間の格差を取り除く偉大な技術だとリニー氏は言う。「莫大なIT予算を持つ巨大企業でなくても、クラウドを利用できる。英国の中堅・小規模企業(SMB)の多くは、FT100指数(訳注)の企業が利用しているクラウドテクノロジーと全く同じものを使っている」

訳注:英FTSEが公表している株価指数(参考:金融経済用語集)。

Outsourceryが採用した仮想化テクノロジー

 リニー氏のOutsourceryはクラウド専業企業で、プラットフォーム、アプリケーション、インフラをサービスとして提供している。英国のユーザー企業には、Pearson、Vodafone、Virgin Mediaなどが名を連ねる。

 Outsourceryのクラウドの基盤プラットフォームは、Microsoftの仮想化プラットフォームであるHyper-V 3.0とMicrosoft System Centerだ。VMware vSphereの方がエンタープライズ市場では優位であるにもかかわらず、以下の理由からMicrosoftの仮想化プラットフォームを選んだ。

続きはComputer Weekly日本語版 2013年10月23日号にて

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