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Google Apps導入で本業に注力「本業はサーバの保守ではない」料理オンライン注文サイトのGoogle導入事例

テイクアウトフードのオンライン注文サイトの英Just Eatは、ITシステムのアップグレードと統合を機に、時間と労力の削減を図りGoogle Appsを採用した。

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Computer Weekly

 1000ポンドのGoogle Chromebook Pixelを試しているというJust Eat(訳注)のITサービス責任者、マーティン・ラッセル氏に、Googleの業務利用について話を聞いた。

訳注:テイクアウトメニューを提供している飲食店をリストアップし、任意の店に注文できるシステムを提供。注文した料理は、宅配あるいは自分で店に取りに行くかを選択できる。

 2001年に創設されたJust Eatは、現在約1000人の従業員を擁し、世界13カ国で事業を展開している。同社は、買収に伴う社内のメールの問題や、思うようにならないシステム統合を経験し、2012年2月にGoogle Apps for Businessに移行した。

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本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年11月6日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

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 ラッセル氏が、テイクアウトのオンライン注文サービスを提供するJust Eatに入社したのは2年半前。当時、同社はオンプレミスでMicrosoft Exchangeを運用していたが、サーバの自社運用にありがちな問題が発生した。「大規模なシステム障害が発生し、データを回復するのに7日かかった」とラッセル氏は振り返る。

 コロケーションサービスを使って、Just EatのExchange Serverをホステッドデータセンターで運用すればよいのでは? 「コロケーション施設を利用しても、電力と冷却の問題しか解決されない。サーバをわれわれ自身で管理しなければならないことに変わりはない」と、ラッセル氏は答える。ラッセル氏がクラウドへの移行を決めたポイントは、Just Eatのビジネスがメールサーバの保守ではなく、テイクアウトメニューを扱うことだったからだ。「オンプレミスのメールサービスを運用しているときは、保守に多大なマンアワー(人時)が取られていた」

 そこで、クラウドを検討することにした。Google AppsとOffice 365が候補に挙がった。だがラッセル氏は、それまでGmailをコンシューマーとしてしか利用したことがなかった。「家ではGmailを使っていたが、会社でGoogleの採用を考えたことはなかった」と話す。

 ラッセル氏は、Google専門のコンサルタント英AppsCareの協力の下、Just EatでのGmailの利用方法を模索することにした。「Microsoftと比べて、1ユーザーにつき年間わずか33ポンドのGmail(が実現できる機能)には感動した」と、ラッセル氏は言う。

ユーザーの抵抗に対応する

 クラウドに移行するのは簡単だとラッセル氏は言う。難しいのは、スタッフが慣れ親しんだソフトウェアを変更することの方だ。

 ラッセル氏は、スタッフには選択の余地を与えず、Googleの採用に踏み切った。「Microsoft Officeの使用を全面的に中止するとは言わず、Microsoft Officeが必要なあらゆる場面で、代わりの方法を提案するようにした」と、ラッセル氏は語る。例えば、スタッフがMicrosoft Wordをリクエストしたら、Googleドキュメントを使ってWordファイルをセーブし直す方法を説明した。「複雑なスプレッドシートの場合は、Microsoft Excelを使えばいい。だが、一般的な用途ではOfficeが必要なあらゆる場面で代替策を探した」

 スタッフには、Google Apps、Googleドライブ、コラボレーションツールのトレーニングを実施した。さらに、毎週「Google Tip of the Week(今週のGoogleのヒント)」というニュースレターを発行している。このニュースレターでは、文章による説明ではなく、使い方のヒントを紹介する簡単なビデオを配布している。ラッセル氏によると、これは非常に好評で、「スタッフから“Googleのヒントのメールが届いていません!”と(催促の)メールをもらうこともある」という。

 このヒントのビデオは、サポートチームのどのメンバーでも作成できるという。

 ラッセル氏は、自助努力も有効だと考えている。「まずユーザー自身が問題解決に当たるという考え方が好ましい」とラッセル氏は話す。例えば、家でiPadを使う場合、iPadは直感的に使えるので、ユーザーは自分で使い方を見つけられる。「サポートに電話して、操作方法を尋ねるたりしない。業務で使うツールもAppleの製品と同じくらい直感的にして、技術サポートなしでユーザーが使えるようにできないだろうか?」

基幹事業にもクラウドを検討

 クラウドと従量課金制のサービスは、ラッセル氏が目指す道だった。「ソリューションを検討する場合は、必ず障害復旧と電力の問題を気に掛ける必要がある。しかし、弊社のビジネスに必要なのは、客からの注文を受け付ける機能だけだ」

 Just Eatは、13カ国で郵便番号を基にサービス提供エリアを設定し、そのエリアのテイクアウトメニューの知識がある現地スタッフが注文を処理する。Just Eatはオンプレミスのテレフォニーシステムを使ってコールセンターを運営しているが、事業の成長と共にシステムのアップグレードが必要になっている。「私が入社した当時の従業員数は200人だった。それが今では1000人になっている」という。

 ラッセル氏は、料金体系がユーザー単位で月極めのコールセンター向けテレフォニーサービスの登場を期待している。その方が、既存のシステムよりも規模を調整しやすくなるからだ。テレフォニーソフトウェアのベンダーは、クラウドベースのサービスを現在検討しているとラッセル氏は見ている。

 Just Eatのアプリケーションのほとんどは、社内で開発されている。コールマネジャーがコールを管理するためには、テレフォニーアプリケーションをデスクトップにインストールする必要があるため、それがクラウドへの全面的な移行の最大の障壁になっている。

 「CiscoのIPテレフォニーを使っているが、ブラウザベースのクラウドテレフォニーなら、大幅なコストカットを実現できるだろう」とラッセル氏は考えている。

次世代のコールセンター

 ラッセル氏が描く次世代のコールセンターは、Chromebookをベースにしている。

続きはComputer Weekly日本語版 2013年11月6日号にて

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