やはりRSAはNSAに協力したのか? 新論文で深まるRSAへの疑惑:Dual_EC_DRBGのバックドアはやはりあった?
RSAがNSAに協力したのか否か? 同社のコビエロ会長は本誌のインタビューで疑惑を否定したが、新たな証拠が発見され、疑惑が深まる結果となっている。
米国国家安全保障局(NSA)が開発し、セキュリティ企業の米RSAが自社製品に採用した暗号化ツールは2種類あったことが判明した。2つ目の暗号化ツールは、インターネットに流れる情報を諜報機関が傍受する能力を大幅に高めるものだったことを示す論文が公開されたのだ。
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2013年12月、カナダの通信社Reutersは、NSAがRSAに1000万ドルを支払い、現在疑惑を持たれている暗号化システムをRSAのセキュリティソフトウェアに採用するように働きかけたと報じた。その記事は、(NSAがRSAに採用させた)乱数生成アルゴリズムDual Elliptic Curve Deterministic Random Bit Generation (Dual_EC_DRBG)には意図的な欠陥、すなわちNSAが暗号化された通信を解読するための「バックドア」が含まれていたと伝えていた。
この報道の直後、RSAは同社のブログで「当社製品を弱体化する意図に基づく契約、または将来『バックドア』として誰かが利用する可能性があるものを当社製品に組み込む契約を、当社が結んだことはない」と説明した。
しかし最近Reutersは、オランダの大学の研究者とアメリカの幾つかの大学の研究者から構成されるチームが論文を発表したことをあらためて報じた。その論文では、暗号化されたデータを解読するためにNSAが提供した2番目のツールが確認されたとされている。研究者チームが発見したのは「Extended Random」というツールの拡張機能で、セキュリティが設定されているWebサイトに対して実行する。Extended Randomを使用すると、RSAが提供しているバージョンのDual_EC_DRBG(で暗号化された通信)を解読する速度が6万5000倍になるという。
Reutersの新たな報道によると、Extended Randomプロトコルは、米国防総省が資金を提供して2008年にまとめられた論文の中で、Dual_EC_DRBGによって生成された数字の乱数性を高める方法として推奨されていた。
Extended Randomがツールに組み込まれた実績は多くないものの、このたび公開された論文は、NSAが暗号化製品を製造する会社に働きかけることで監視の範囲を広げた過程に焦点を当てているとReutersは伝えている。
RSAは、「当社には製品のセキュリティを劣化させる意図はなく、Extended Randomは利用頻度も高くないことが分かったため、6カ月前に当社の製品から削除した」と説明した。
「NSAが(特定のアルゴリズムを推奨した)本当の意図に、もっと疑いの目を向ければよかった」と、RSAの主任テクノロジストであるサム・カリー氏はReutersに対して後悔の念を明かした。「われわれはすっかりNSAを信頼していた。NSAは米国政府と米国内の重要なインフラの安全保障を担当している機関だから」(カリー氏)
ただし、RSAが同社のセキュリティソフトウェア「BSAFE」に、Dual_EC_DRBGのみならずExtended Randomも組み込んだことに対して、政府機関が対価を支払ったかどうかについては、カリー氏はコメントを拒否した。
2014年2月にRSAが開催したカンファレンス「RSA Conference 2014」で、RSA会長のアート・コビエロ氏は、RSAがNSAと結託していたといううわさを否定した(訳注)。同氏は、NSIT(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準技術研究所)が新たなガイダンスを発表し、Dual_EC_DRBGアルゴリズムの使用を停止するよう勧告した際にRSAは早急に対応し、顧客に告知した上でこのアルゴリズムを製品から削除する手続きを取ったと説明した。
訳注:本誌「4月16日号:クラウドの活用を阻むIT部門」に全文を掲載している。
またコビエロ氏は続けて次のように語った。
続きはComputer Weekly日本語版 5月21日号にて
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