今、企業がオブジェクトストレージに注目すべき理由:高まる非構造型データニーズ
非構造型データの増大、従来型ストレージアーキテクチャの限界など、昨今のデータアクセスニーズの変化がオブジェクトストレージへの関心を高めているという。企業が注目すべき理由と、市場動向を解説する。
非構造型データの増大により、オブジェクトストレージが大きな関心を集めている。こう述べているのは、米451 Researchが最近発行したオブジェクトストレージに関する調査報告だ。
オブジェクトストレージ技術が関心を集める理由は3つある。
- ボリュームの増大および多様化するデータの保存やアクセスに対するニーズ
- Pバイト規模の従来型ストレージアーキテクチャの限界
- Web、クラウド、モバイルアプリやモバイルサービスの出現
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オブジェクトストレージのユースケースは進化している。当初は、コンプライアンスを中心としたデータの保持だった。それが大量の静的コンテンツのアーカイブへと進み、今や非構造型データに分散アクセスを行うストレージの提供まで至っている。ここ数年は、多くのクラウド、Webベースのストレージサービスやアプリを支えるオブジェクトストレージが存在感を増してきた。特に顕著なのが、米Amazonの「Amazon S3」だ。
オブジェクトストレージに力を入れている業界やクラウドサービスプロバイダーを除けば、企業のデータセンターではいまだニッチなテクノロジーにすぎず、これまでの導入例も比較的少ない。
オブジェクトストレージを妨げるもの、後押しするもの
従来型の企業にオブジェクトストレージがなかなか浸透しない理由はたくさんある。従来のエンタープライズアプリケーションがネイティブにサポートしない、従来型ストレージアーキテクチャと比較した場合のオブジェクトストレージアーキテクチャの本質やメリットがなかなか理解されない、業界標準のオブジェクトストレージAPIが1つに定まっていないなどがその例だ。
だが、今後2、3年でオブジェクトストレージの導入はさらに増加すると見込まれる。企業でDevOpsを実践するソフトウェア開発者やクラウドストレージのビルド担当者が増えれば、組織はアプリやプロセスをクラウドのような配置モデルに移行するようになるためだ。
長期間にわたり、オブジェクトストレージは、簡易型2層エンタープライズストレージアーキテクチャの出現に重要な役割を果たすだろう。このストレージアーキテクチャは、特にWebやクラウド、さらにはモバイルベースのアプリやサービスが対象になるためだ。オブジェクトストレージは、このアーキテクチャの下位層の従来型SANストレージやNASストレージの複数の層に取って代わる可能性がある。
451 Researchは、オブジェクトストレージのソフトウェアとシステムの市場で、企業が2013年度に得た収益を試算し、4億6100万ドルという金額を導き出した。また、複合年間成長率(CAGR)は2018年までに27%に成長し、収益は15億ドルに達すると見込んでいる。対照的に、(オブジェクトベースのストレージサービスであるAmazon S3が主導する)パブリッククラウドストレージサービス市場の2013年の収益は約40億ドルだったと推定される。
オブジェクトストレージ技術を提供する企業には、2つの市場チャンスがある。1つは、オブジェクトストレージ技術を独自に開発している(Amazonなどの)ハイパースケールな「クラウドの巨人」と競合しているサービスプロバイダーをターゲットにするもの。もう1つは、オンプレミスのハイブリッドオブジェクトストレージの導入を検討している企業をターゲットにするものだ。
未成熟で断片化しているオブジェクトストレージ市場
続きはComputer Weekly日本語版 7月2日号にて
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