ホワイトボックスの流行で有名メーカー製サーバは不要になる?:有名メーカー製ハードの寿命はあと3〜5年
大規模データセンターでは、DellやIBMのサーバを排除して「ODM」メーカーのホワイトボックスサーバに切り替える例が増えている。VMwareのCTOは、「有名メーカーのサーバは使われなくなる」とまで言う。
サーバのODM(Original Design Manufacturing:委託者のブランドで設計・製造すること)事業に携わるメーカーが、従来のサーバOEM(Original Equipment Manufacturing:委託生産)メーカーを脅かしている。米Amazonや米Microsoftといった大手ハイテク企業が運営しているハイパースケールなデータセンターに、ODMメーカーが製品を売り込んでいるからだ。
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米調査会社Gartnerの予測によると、大規模データセンターを運営する企業に対するODMメーカーのサーバの売り上げは、2018年までにx86サーバの全世界販売台数の16%を占めるようになる。金額ベースでは46億ドルの売り上げとなる見込みだ。
「ハイパースケールデータセンターの顧客獲得を狙って、ODMメーカーはビジネスモデルを急速に転換させている。各ODMメーカーは事業範囲を拡大し、近い将来大規模組織(エンタープライズ)も顧客として取り込もうとしている」と話すのは、Gartnerのリサーチディレクター、ナビィーン・ミシュラ氏だ。
「ハイパースケールデータセンターと直接取引をするようになったことが、ODMメーカーの売り上げを伸ばした最大の理由だ」
クラウドコンピューティングなど、Webベースのビジネスモデルが伸びていることが、ハイパースケールデータセンターの設備投資を後押ししている。そして、2014年はODMサーバの売り上げの82%をハイパースケールデータセンターの顧客が占めるだろうとGartnerは見積もっている。
ハイパースケールデータセンターを(自社の業務用に)運営している大手ハイテク企業は、サーバを数十万台規模に拡大しなければならなくなっている。そこで大手ハイテク企業は、米Dellや米IBMなど、サプライチェーンを通じてx86サーバを販売している従来のOEMメーカーを排除し、代わりにODMメーカーから直接買い付けることで調達コストの効率を高めようとしている。
ODMメーカーには、低コストのプラットフォームを提供できるスケーラビリティとビジネスモデルがある。同時にODMメーカーのサーバは、従来のOEMメーカーが扱っている主流のサーバに比べてTCO(総所有コスト)を削減することができる(電気料金やサーバの冷却費用も含めて考える)。ODMメーカーにはそんな形で大手ハイテク企業を支援することもできるというのが、ミシュラ氏の分析だ。
ハイパースケールデータセンターの顧客は、現在の主流であるOEMメーカーのサーバよりもODMメーカーのサーバ、いわゆる「ホワイトボックスサーバ」を好む傾向にある。費用を抑えることができるし、革新的な機能など、顧客の事情にきめ細かく対応した設計も可能だからだ。顧客がシステムを後でカスタマイズできるように設計することもできる。
「幅広いニーズに個別に対応する、カスタムのサーバソリューションを設計する技術的な知識と能力にかけて、ODMメーカーには絶大な信用がある」とミシュラ氏は説明する。ODMが成功を収めつつあり(生産台数が増えたことで)スケールメリットも得られるようになったので、思い切った価格戦略を打ち出すODMメーカーも現れている。
米VMwareでヨーロッパ・中東・アフリカ地域(EMEA)の最高技術責任者(CTO)を務めるジョー・バグリー氏はかつて、将来のデータセンターでは、有名メーカーのサーバや、1つの機能だけを実行するネットワーク製品が使われることはないだろうと予測していた。ソフトウェア定義で全てをカバーするようになれば、ハードウェアの機種は問われなくなるからだ。
2014年5月に開かれたカンファレンス「Datacentres Europe 2014」でスピーカーを務めたバグリー氏の発言は、さらに過激だ。
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