要チェックのスペックは?
一般向けとはここが違う、「企業向けノートPC」の“独特な選び方”
量販店などで売られる一般用ノートPCの選択と、ビジネス用ノートPCの選び方に違いは? スペックを中心に企業向けノートPCの選び方を解説する。
物理的サイズ
多くの企業では、出張や在宅業務など社外で仕事をする必要がある従業員にノートPCを支給している。ノートPCの購入に際しては、従業員のニーズを考慮する必要がある。17インチのワークステーション型ノートPCが備えるデスクトップ並みのパフォーマンスを外回りの従業員が必要とするのでないかぎり、持ち運びがしやすいマシンを与えるのが常識的であろう。ノートPCのディスプレーのサイズの一般的な分類を以下に示す。
12.5インチ以下
このサイズの小型ノートPCは、もう一回り大きい製品と比較して割高な価格に設定されている場合が多い。このタイプは頻繁に出張する従業員向けだ。ただし、支給する前に、小さな画面サイズに不満がないか従業員に確認しておく必要がある。また、本体サイズに合わせてキーボードも若干小さくなることにも注意が必要だ。
13.3~14.5インチ
この画面サイズは、モビリティ、使い勝手、パフォーマンスの間のバランスが理想的だといえる。12.5インチ以下の製品と異なり、このクラスのノートPCでは、割安感を打ち出した製品が多い。
15.6インチ
デスクトップPCの代替として使うノートPCの標準的な画面サイズだ。このクラスのノートPCは基本的に社内での業務用だが、必要に応じて持ち運びすることも可能だ。普段は在宅勤務用として大きな画面を使いたいけども、ある程度の持ち運び易さも必要だという従業員にはぴったりだ。この価格帯のノートPCも割安感がある。
17.3インチ以上
「モバイルワークステーション」として分類されるビジネス用ノートPCは、このサイズの製品が多い。モバイルワークステーションは市販されているノートPCの中で最も性能が高く、価格的にも非常に割高だ。このクラスのノートPCをお勧めできるのは、従業員が写真/動画の編集や3D画像作成/設計などの高度な業務で、デスクトップと同等のパフォーマンスを必要とする場合だけだろう。従業員がモビリティを必要としないのであれば、同じ価格帯のデスクトップ型ワークステーションの方が高い性能が得られる。
品質
ビジネス用IT機器の購入に当たっては、使用期間も考慮するのが一般的だ。コンピュータシステムの耐用期間は3~5年程度と考えられている。一方、高品質のノートPCは作りがしっかりしているので、酷使した場合でも、もっと長く使い続けられる。ビジネス用ノートPCも一般消費者向けノートPCと同様、さまざまな価格帯の製品が出回っており、製品の価格は基本的に品質、機能およびパフォーマンスに対応する。
できれば最低価格帯の製品は避けた方が賢明だ。こうした製品の多くは、企業向けのアフターサポートが付いている点を除けば、一般消費者向けノートPCとほとんど変わらないからだ。人気の高いビジネス用ノートPCを価格帯別に分類すると以下のようになる(いずれも米国の情報)。
| メーカー | エントリーレベル | ミドルレンジ | ハイエンド |
|---|---|---|---|
| 米Dell | Latitude 3000 | Latitude 5000 | Latitude 7000、Precision(モバイルワークステーション) |
| 米HP | ProBook | EliteBook | Elitebook、EliteBook Folio、ZBook(モバイルワークステーション) |
| 中国Lenovo | ThinkPad L/Eシリーズ | ThinkPad Tシリーズ | ThinkPad T/Xシリーズ、Wシリーズ(モバイルワークステーション) |
| 米Toshiba | Tecra A/Cシリーズ | Tecra Zシリーズ | Tecra Wシリーズ(モバイルワークステーション) |
| 富士通 | 該当なし | LIFEBOOK Eシリーズ | LIFEBOOK E/T/Uシリーズ |
企業ユーザーの間で特に人気が高いのがDell Latitude 5000シリーズ、HP EliteBookおよびLenovo ThinkPad Tシリーズである。故障が少なく、性能的にも機能的にも十分なレベルに達しているからだ。
保証とアフターサポート
ノートPCの品質と機能は、選定基準の半分にすぎない。もう半分が保証とアフターサポートである。IT部門が償却年数(一般的には3年)と同じ保証期間が付いているノートPCを購入するのは普通のことだ。Dell、HP、Lenovoなどのビジネス用ノートPCの大手メーカーには企業サポートを専門とする部署があり、各社とも出張修理や部品交換といった本格的な企業向けサービスを提供している。
外回りの従業員にノートPCを支給する企業は、不慮の損失をカバーする保険に入っていないのであれば、事故による破損に対する製品保証の購入も検討すべきである。従業員は会社から支給されたノートPCを、想像できないような状況で壊してしまうことが多いからだ。なお、盗難はこの保証でカバーされない。
システム性能
従業員が使うコンピュータの仕様を決定するのは、従業員の日々の業務における要件だ。最低限の条件として、従業員が使用するソフトウェアで必要とされる性能を上回っていなければならない。幸いにも、今日のビジネス向けのコンピュータのほとんどは、「Microsoft Office」などの日常業務用アプリケーションを動作させるのに十分な性能を備えている。
ソフトウェア開発者など特殊な職種の従業員であれば、仮想化のサポートや大容量のメモリといった高度な機能や仕様が必要になるかもしれない。さまざまな利用形態で求められる要件を下表に示す。
| 利用形態 | 基本機能の利用/一般業務 | ソフトウェア開発 | 3Dコンテンツの作成 |
|---|---|---|---|
| 業務内容 | Microsoft Officeなどを使用する日常業務 | プログラミング、仮想マシン(VM)を使用 | 3D画像作成(CAD、写真/動画編集) |
| プロセッサ | Intel Core i3/i5デュアルコア | Intel Core i7クアッドコア | Intel Core i7クアッドコア |
| RAM(メモリ) | 4~8Gバイト | 8~16Gバイト | 16Gバイト |
| ストレージ | 500Gバイト | 必要容量(SSDを推奨) | 必要容量(SSDを推奨) |
| グラフィックス | 内蔵のグラフィックボード | 内蔵のグラフィックボード | AMD FireProまたはNvidia Quadro |
| その他の要件 | バッテリー駆動で使うケースが多い場合は拡張バッテリーの有無も検討する | フルサイズのキーボードを備えたノートPCを選ぶ | 高品質のディスプレーを選ぶ |
機能
ビジネス向けのノートPCは、以下の点で一般消費者向けのノートPCと異なる。
- 反射防止コーティングを施したディスプレー:天井に蛍光灯照明があるビジネス環境では必須の要件
- ファンクションキー(F1~F12)などの拡張キーを備えた本格配列のキーボード
- ドッキングステーションのサポート
- エンドユーザーによる整備が可能:ノートPCを修理に出さなくてもIT部門が手早く部品を交換できることが重要
結論
以上、従業員のニーズを考慮に入れてビジネス用ノートPCを購入する上での基本的なポイントをまとめた。ビジネス用ノートPCの必須要件は2つである。すなわち従業員のワークロードを処理できること、そして償却期間を通じて最小限のダウンタイムで動作することだ。品質と性能のベストバランスを手頃な価格で得たいのであれば、ミドルクラス以上のビジネス用ノートPCがお勧めだ。また、保証およびアフターサポートも総合的な価値の一部であることを強調しておきたい。
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