メルセデスのITディレクターが見た2014年F1チャンピオンシップ:人員削減からチャンピオン獲得まで
2014年、F1コンストラクターズおよびドライバーズチャンピオンを獲得したメルセデスAMG。その裏舞台を支えたITディレクターの最初の仕事は人員削減だった。
マット・ハリス氏がドイツのフォーミュラ1(F1)チームMercedes AMG Petronas(以下、「メルセデスAMG」)のITディレクターに就任した2009年は、モータースポーツエンジニアのロス・ブラウン氏がメルセデスAMGの代表を引き継いだばかりで、ITコストを大幅に削減する必要に迫られていた。
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ブラウン氏はかつてFerrariでチーフデザイナーを担当し、その後、日本のホンダがF1から撤退するまでホンダチームのチームプリンシパルを務めていた。
2009年は、ブラウンGPがコンストラクターズチャンピオンを獲得し、同チームのドライバー、ジェンソン・バトン氏がドライバーズチャンピオンを獲得した年だ。だが、同年はどうしてもコストを削減する必要に迫られており、波乱の幕開けとなった年でもある。ハリス氏は、24人いたチームメンバーをほぼ半分の13人に削減することを求められた。
「管理しかできない人間を雇う余裕はなかった。管理と日常業務の両方をこなせる人材が必要で、残す13人はそれぞれの仕事に関して非常に優秀でなくてはならなかった」
人員削減のため、全員を対象に希望退職を募った。「残ってほしかった最も優れた人材も何人かは去ってしまった。サポートスタッフは解雇し、技術スタッフを残した。技術スタッフはサポートもできると考えた。このためサポートの第一層を失った」
同氏はこれが理想的な手法ではなかったことを認め、その後チームはITのサポート面を少しずつ強化している。2014年には、技術アーキテクトを数人雇い入れた。
勝利する技術
言うまでもなくワールドチャンピオンの獲得は非常に大きな出来事だ。メルセデスAMGは2014年のF1ワールドコンストラクターズタイトルを獲得し、チームドライバーのルイス・ハミルトン氏が同年のドライバーズタイトルを獲得した。IT部門はこれをどのように祝ったのだろう。
「チームがコンストラクターズチャンピオンに輝いたことは祝福した。この勝利の立役者はチーム全員だからだ」とハリス氏は話す。
「ドライバーズチャンピオンは勝利に添える花のようなものだ」と同氏は付け加える。「幸い、ルイスがレースで勝利したが、逆のパターンもあり得た。ルイスではなくニコ(・ロズベルグ)がタイトルを獲得し、ルイスはチャンピオンではなかったかもしれない。どちらかのドライバーだけを祝う、ということはない」
世界規模のコミュニケーション
F1を運営するFIAは、レースに帯同する人数を各チーム60人に制限している。従って、レースカーの準備には工場とのコミュニケーションが重要になる。英ブラックリーにあるメルセデスAMGの工場のエンジニアはレースが開催される週末中、サーキットのチームと直接話してレースカーが最高の状態にあることを確認する必要がある。このため、同社はリアルタイムテレメトリを使ってピットガレージにいるチームをサポートする。
チームが利用しているグローバル通信プロバイダーはインドのTata Communicationsだ。ハリス氏によれば、レース開催地域のサービスプロバイダーとの接続に伴う複雑さをグローバルプロバイダーに任せることで、メルセデスAMG IT部門の仕事が大幅に簡素化されるという。
サーキットでは、レースカーのテレメトリデータがガレージに無線で転送される。同時に、Tataのグローバル通信ネットワークを介して英国のエンジニアにも転送される。
F1レースの開催地がどこであろうとガレージと本拠地を接続できるのには、どのような秘密が隠されているのだろう。
続きはComputer Weekly日本語版 2月4日号号にて
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