まずは正しい評価から
「デスクトップ仮想化」は何が何でもやらなくてはいけないことなのか?
全ての物理デスクトップPCが仮想化の対象になるのだろうか。デスクトップPCの評価は、仮想デスクトップインフラ(VDI)への大規模な投資を行う前に仮想化対象のPCを判断する一助となる。
米VMwareは2013年後半からエンドユーザーコンピューティング(EUC)の分野に大規模な投資を行っている。具体的には、サンジェイ・プーネン氏の入社やAdvanced版でアプリの公開機能を導入した同社の「VMware Horizon 6(with View)」の発売などだ。ついに幅を利かせている米Citrix Systemsの「Citrix XenApp」に新たな競合が誕生することになった。
VMwareが行った投資によって、デスクトップPCやアプリの仮想化を検討する潜在顧客が増えたように思える。だが、全ての物理デスクトップPCが仮想化の対象になるとは限らない。仮想化の有無を決定するには、デスクトップPCの評価が必要になる。
デスクトップPCの評価
まず、デスクトップPCの評価がどういうものか定義したい。筆者は、VDIの対象となる各種エンドユーザーデバイスにインストールしたリモートエージェントから、情報を照合する集約型ソフトウェアを使用している。
市場では、さまざまなプロバイダーがツールを提供している。例えば、英Centrix Softwareの「Centrix Virtual iQ」、米Lakeside Softwareの「VDI Assessment, Design and Planning」、米Liquidware Labsの「Stratusphere FIT for VDI Assessments」などだ。
OSの切り替え
デスクトップPCを評価したら、同じOSを使い続けるか、新しいOSに移行するかを決断する必要がある。
新しいバージョンに置き換える予定のデスクトップPCのOSについてVDIの評価を行う場合、どのようなメリットがあるのだろうか。残念ながら、このような場合は、それほど多くのメリットは得られない。ほとんどのアプリケーションでは、新しいOSに対応するためのアップデートが必要になる。アップデートを伴う場合は、必要な計算リソースとストレージが異なるからだ。
OSを変えないメリット
同じOSを使い続けるなら、デスクトップPCの評価から、より大きなメリットが得られる。だが、ほとんどの場合、評価の結果は、計算メトリックスが過大評価されている点に注意してほしい。
例えば、次のようなものがある。
- ゲスト環境のウイルス保護ソフトウェアが使用する計算リソースは、ホスト環境のリソースにオフロードされる可能性が高い
- Windows Update用の計算リソースと保存リソースは、プロビジョニングサービス(PVS)、マルチキャリアサービス(MCS)、リンククローンといったVDIツールによって無効にされることが多い
- エンドユーザーがインストールしたアプリは、マスターイメージから削除される可能性が最も高い
- VDIのマスターイメージは、サービス/ウィジェット/アプリの無効化やアンインストールによって最適化される
ほとんどの場合、物理ホストごとの統合比率が若干高くなることから、これらはメリットと考えられる。
ユーザーが使用する周辺機器
デスクトップPCの評価は、この分野で真価を発揮する。筆者が話を聞いたIT部門の大半は、従業員が使用しているアプリケーションとデバイスを把握しているというが、そうだとは信じ難い。
デスクトップPCの評価を行うと、ユーザーのデスクトップPCのパラレル、シリアル、USB端子に接続されたデバイスに関する情報を入手できる。この情報は、特定のユーザーのデバイスがVDIに適しているかどうかの判断材料になる。
ライセンスに関する考慮事項
デスクトップPCの評価を行うと、使用されているアプリケーション、ソフトウェア、デバイスの種類を明らかにできる。だが、多くの領域で十分ではないことが往々にしてある。
- アプリケーションの依存関係。5つの異なるバージョンのJavaがインストールされている理由を特定する必要がある。
- 大抵はアプリケーションがドキュメントの閲覧や編集に使われているかどうかではなく、実行可能ファイルが起動されているかどうかを調べる。だが、ライセンス費用に大きく影響するのは前者だ。
- アプリケーションのシステム要件と仮想化の評価。アプリケーションは特定のOSで動作するのか、仮想化できるのかを調べる必要がある。
上述の領域は見過ごされることが多く、デスクトップPCの評価以外に大きな労力が必要になる。デスクトップPCの評価で得られる情報は足掛かりとして使える。
グループポリシー
ほとんどのデスクトップPCの評価では、エンドポイントデバイスにインストールされたゲストエージェントを使用してメトリックスをキャプチャーし、中央集積リポジトリにそのメトリックスを伝達している。ゲストエージェントが起動するのを待つ間に何か起こるのかといえば、何も起こらない。そのため、エージェントが起動される前に起こった事象に関するデータは収集できない。
エージェントが起動すると、ログイン/ログオフ時に収集されたメトリックスがコンピュータオブジェクトに適用されたグループポリシーによってゆがめられる可能性がある。
VDI導入用の新しい組織単位がどのくらいの頻度で作成されるのかを考える必要があるだろう。
ストレージに関する正確な数値を入手する方法
OSの準備が完了するまでゲストエージェントが起動しないことは確認した。つまり、ブートIOPSメトリックスは収集し損ねている。
デスクトップPCの評価では、一定の状態情報をキャプチャーできる。これは他のボトルネックがその情報をゆがめない限り何の問題もない。以下にボトルネックの例を示す。
- ディスクI/O増加の原因となるページングは起こっているのか。
- HDD自体が制限要素となるのか。7200rpmシリアルATA HDDから解放されたら、消費するIOSPはどう変わるのか。
- ウイルス対策スキャンがディスクI/Oの急増に関与していないか。
デスクトップPCの評価で得られる価値
筆者にとってVDIのためのデスクトップPCの評価が高い価値を持つ理由は4つある。
1つ目は、評価によって、仮想化の対象とするユーザーと周辺機器などを検討するタイミングについて全体的な視点を持てることだ。
2つ目は、リソースの消費量(低/中/高)でユーザーを分類できること。
3つ目は、同時ログイン/ログオフを判断できるのでストレージサイズの要件が計算可能になること。
そして4つ目は、現在使用中のアプリケーションが明らかになることだ。
VDIの領域ではデスクトップPCの評価を行うことには一理ある。だが、それはVDIを導入するために必要な全ての情報が手に入る魔法のつえではない。デスクトップPCの評価の価値は、ホストごとのユーザー密度を判断するために、NETWORLDの「LoginVSI」のような製品を使ったパイロットとロードテストによってもたらされる。
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