1台で仕事用、個人用の使い分けを可能に
攻撃を受けるiPhone、Android これだけあるセキュリティ対策の選択肢
仮想化やモバイル端末を使って、社員が外出先で仕事をすることが増えている一方、企業データ保護は重労働だ。情報漏えい対策ツールを使った企業データの守り方とは。
企業がどのような方法でモバイルアプリケーションを開発、展開しようとも、IT部門は、悪意ある攻撃や知的財産の損失可能性といった脅威に目を光らせていなければならない。
どのモバイルOSにも欠陥があり、不注意な社員やマルウェアが機密データを危険にさらす恐れもある。社員は画面ロックをせずに、モバイル端末を公共の場にあっさり放置する。一方、ハッカーは企業システムに不正侵入する方法をいつも探している。
IT部門は、社員のモバイル端末のセキュリティを確保するため、情報漏えい対策ツールを利用して企業データの侵害を回避できる。
マルウェア攻撃に先手を打つ
モバイルOSはいずれも固有の脆弱性があり、セキュリティに関する評判はそれぞれで違う。例えば、米 Googleの「Android」は幾つかのセキュリティ機能を搭載し、ベンダーも韓国Samsung Electronicsの「SAFE」や「Sumsung KNOX」環境のようなセキュリティアドオンを提供している。しかし、Androidユーザーが膨大な数に上るのと同様に、同OSを攻撃する者も多数存在する。
米Appleの「iOS」とカナダのBlackBerryの「BlackBerry OS」は、極めて安全なモバイルOSという評判がある。だが、一部のセキュリティ機能が、消費者やビジネスユーザーがモバイル端末でやりたいことの妨げになる場合がある。モバイルOSのセキュリティは、端末とその上で動くアプリケーション、モバイルデバイス管理(MDM)システムに依存する。モバイルポリシーが十分に設定されていれば、マルウェア対策保護や権限付与スキームが確保される。
割と最近まで、モバイル端末へのウイルス対策ソフトウェアの導入価値を認識していた企業は少なかった。確かに、米Symantec、米McAfee、米Lookoutなどのベンダーから幾つかのツールが提供されていたが、ほとんどのモバイルセキュリティ専門家はそれらについて、「心配性の情報セキュリティ担当者を安心させる“お守り”にすぎない」と考えていた。
しかし、Androidを脅かすセキュリティリスクは現実のものになっている。例えば、何百万人ものユーザーが、アプリケーションストア「Google Play」から、トロイの木馬が仕込まれたアプリケーションをダウンロードしてしまった。企業としては、MDMでモバイルセキュリティポリシーを強制し、マルウェア対策やウイルス対策ソフトウェアに投資して、そのソフトウェアをモバイル端末にインストールさせ、マルウェアライブラリを最新の状態に保たせるようにすることが賢明だ。
コンテナ化が鍵を握る
企業と個人のアプリケーション/データを分離する一連の機能である「コンテナ化」という言葉は、一部のユーザーに窮屈な印象を与えてしまう。だが、このアプリケーションセキュリティのメカニズムは、管理者が個々のモバイル端末に応じてアプリケーションを提供しながらも、セキュリティに関して安心できる、効果的な情報漏えい防止対策の1つだ。
企業はMDMツールやモバイルアプリケーション管理(MAM)ツールを使って、コンテナ化を強制的に実現し、管理することができる。MDMでは、モバイルユーザーに端末レベルのロックや暗号化を有効にするよう要求できる。IT部門がアプリケーションレベルのセキュリティポリシーを定義することも可能だ。
また、MAMでは、アプリケーションやコンテンツのレベルで暗号化を強制できる。ネットワーク接続に関しても、IT部門は社員に承認された仮想プライベートネットワーク(VPN)を介して、特定のアプリケーションをLANやWANといった企業ネットワークに接続させることができる。こうしたアプリケーションレベルのセキュリティ対策を講じることで、アプリケーション自体が安全なコンテナになる。
アプリケーションレベルのコンテナ化を適切に行えば、消費者向けアプリケーションと同様のユーザー体験を提供できる。だが、そうしたアプリケーションをどのように展開するかという問題がある。この問題に関する調査結果はまちまちだが、ユーザーの約半数が、「アプリケーション管理に関する制限を感じさせないような展開方法」を望んでおり、残る半数は、「モバイル端末に仕事用アプリケーション専用の場所が設けられること」を望んでいる。
制限が少ないことを望むユーザー向けに、MDMツールは、企業が管理するアプリケーション間の連係も実現する。これにより、ユーザーはあるアプリケーションで認証を行えば、他のアプリケーションにも簡単にアクセスできるようになり、その一方で、標準的な情報漏えい防止ポリシーが維持される。
BYOD端末を2つのペルソナに分割
多くの社員と企業は、アプリケーションとデータが仕事用と個人用で完全に切り分けられることを好む。これは特に、BYOD(私物端末の業務利用)の取り組みでは重要だ。具体的には、社員が自分のモバイル端末を持ち込み、IT部門がコンテナ化された仕事環境を作り込むことになる。
BlackBerryとSamsungは、1台の端末に2つの環境を構築する“デュアルペルソナ”と呼ばれるアプローチを自社の端末管理ソフトウェアに実装している。この実装方法は、「端末の安全な仮想環境で企業アプリケーションを動作させるもの」と考えるのが一番分かりやすい。社員は、企業管理していないアプリケーションをこの環境に入れたり、企業が管理するアプリケーションをそこから出したりすることはできない。
社員は個人用のコンテンツをモバイル端末のファイルに保存し、そのコンテンツは仮想環境にある仕事用のコンテンツとは切り離される。さらに、仮想環境にある企業データは、個人用のアプリケーションとは共有できない。
VDIでデータをオンプレミスに保持
デュアルペルソナのアプローチの実装方法は他にもある。仮想デスクトップインフラ(VDI)を使って、モバイル端末にデスクトップ環境をシミュレートするというものだ。
この方法では、アプリケーションやコンテンツは全て、自社のデータセンター内の社内ネットワークサーバ上に保持される。社員は仮想ポータルを開き、そこからこれらのサービスにアクセスするにすぎない。これは、セキュリティを重視する企業にはうってつけだ。なぜなら、自社内の設備から外部に移動するものがないからである。
仮想アプリケーションやデスクトップ全体をモバイル端末に提供できるデスクトップ仮想化製品の大手ベンダーには、米Citrix Systemsと米VMwareがある。
一方、仮想デスクトップでは、パフォーマンスの問題がある。このサービスが、仮想デスクトップ画面をレンダリングするために端末の処理能力を過度に使用すると、動作が非常に遅くなり、クラッシュが発生する。VDIはあくまで、企業がモバイル専用アプリケーションを開発して展開するまでのその場しのぎにしかならない。
ドキュメントを共有できるアプリケーションを指定
IT管理者は、社員が仕事用と個人用のアプリケーション間でデータを共有する必要がある場合、MAMツールやMDMツールのポリシー管理サービスを利用して、どのアプリケーションがコンテンツを共有できるかを指定し、データ流出のリスクを軽減できる。
エンタープライズモビリティ管理(EMM)を導入していない場合、社員が自分のモバイル端末からリモートで仕事をしたいが、オフィスの自分のデスクトップにある「Microsoft Word」ドキュメントにアクセスする必要があるとき、そのドキュメントを個人用のメールアカウントに送り、管理対象外の安全でないアプリケーションで扱うことになるだろう。
今や企業は、社員がどこにいても仕事をできるだけ早く処理することを求める。企業ポリシーに違反せずに仕事をできるだけ早く処理するのは、場合によっては難しい。
だが、高度化が進むMAM製品やMDM製品のおかげで、セキュリティと生産性を両立させる方法が生まれている。例えば、現在ではほとんどの社員が、スマートフォンで安全なメールを利用している。このため、IT担当者や社員がコンテンツをモバイル端末に安全に送信でき、そのコンテンツはモバイル端末内に安全に保持される。
企業はMAMとモバイル端末ポリシーにより、管理下に置いたアプリケーションを社員に提供し、企業コンテンツの編集や更新を安全に行わせることができる。また、コンテナ化され、承認されたアプリケーションだけが相互にコンテンツを共有できるようにするポリシーを設定することで、コントロールを維持できる。
IT部門が社員に必要なアプリケーションを提供してセキュリティを維持し、社員の方は企業ポリシーに従ってさまざまなモバイル端末を使うことができれば、社員の生産性は向上するだろう。
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