クラウドへの移行負荷を軽減
「OpenStack」の簡単導入、VMware無料ツールが見逃せない理由
企業が「OpenStack」を導入するには、多くの時間と高度な技術的知識が要求される。これをチャンスと捉える米VMwareは、同社独自のディストリビューションを開発した。
データセンター市場における米VMwareの影響力が、競合企業の登場で揺らいでいることは誰の目にも明らかだ。VMwareは長い間、「VMware vSphere」によってサーバ仮想化市場をリードしてきた。だが同社がクラウドコンピューティングという新たな分野に進出し始めた今、状況はやや混沌としている。
クラウドの世界ではこの2年間、「OpenStack」が大きな注目を集めてきた。OpenStackはオープンソースのクラウド構想であり、ソフトウェア業界およびハードウェア業界の多数の大手企業が開発に参画している。IT市場の全ての主要プレーヤーが関与していることもあり、OpenStackは有力なクラウドプラットフォームになった。同技術はパブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらの配備にも使える。
包括的プラットフォームへの進化
米Hewlett-Packard(HP)、米IBM、米IntelなどIT分野の多数の主要プレーヤーが参加しているため、OpenStackは広範な互換性を念頭に置いて開発が進められている。当初は米航空宇宙局(NASA)と米Rackspaceの共同プロジェクトとしてLinuxの仮想化だけを目指して開発が始められたOpenStackだが、今では「VMware ESXi」やWindowsベースの「Microsoft Hyper-V」など各種のハイパーバイザー上にインスタンスを配備できるサービスクラウドとしてのインフラへと進化した。
だがOpenStackには1つ問題がある。セットアップが複雑なのだ。Linuxのスキルを持ち、クラウドの経験が豊富な管理者でさえも、約80ページのインストールガイドを読んでクラウド環境を立ち上げるには、少なくとも1週間はかかるだろう。OpenStackの導入は多数のコマンドを手作業で実行する必要があるなど、非常に手間が掛かる作業である。
チャンスに目を向けるVMware
OpenStackの人気の高まりを受け、VMwareの顧客の多くもOpenStackの利用に関心を示し始めた。こうした動きに応え、VMwareは「VMware Integrated OpenStack(VIO)」をリリースした。VIOの最大の目的は、VMware vSphereインフラで動作するクラウドソリューションの開発を可能にすることにある。今のところ、VIOはvSphere上でのみ動作し、他のハイパーバイザーはサポートしていない。VIOを配備するには「vSphere Enterprise Plus」が必要になる。同製品のライセンスを持っているユーザーには、VIOが無償のアドオンとして提供される。
VMware vSphere上にOpenStackを配備すること自体は以前から可能だったが、面倒な手作業が必要だった。VIOのリリースが注目されるのはそのためだ。VIOではウィザードがセットアップの手順を段階的に示してくれる。また、手作業でのセットアップに必要な長いコマンドを入力しなくても、OpenStackの全てのコンポーネントを結び付けることができる。
VIOの配備が完了すると、「Nova」(コンピューティング用)や「Neutron」(ネットワーキング用)などの標準的なOpenStackコンポーネントが「Ubuntu」ベースのサーバにインストールされた本格的なクラウドプラットフォームが出来上がる。VIO自身がOpenStackであるため、同じコンポーネントが全てそろっている。ウィザードインタフェースを使って指定した構成は全て、Linuxのコンフィギュレーションファイルとして保存される。必要があれば、これらの設定を変更することも可能だ。
ネットワークのセットアップ
米Niciraの買収とそれに続くネットワーク仮想化製品の「VMware NSX」のリリース以降、VMwareはデータセンターのネットワーキング分野で非常に積極的な動きを見せている。SDN(Software-Defined Network)のセットアップはOpenStackで最も困難な部分の1つだが、VMwareは構成プロセスの中でNSXをセットアップするためのウィザードを提供している。それでもSDNは本来的に難しい技術であり、SDNによって何を実現する必要があるのかを十分に検討する必要がある。
ワークロードをクラウドに移行する
VMwareはOpenStackのセットアップという厄介な作業をVIOで軽減することにより、OpenStackプロバイダー間の競争で優位に立つことを目指しているようだ。一方、仮想化プラットフォームをクラウドに拡張したいvSphereのユーザーにとっては、OpenStackの導入を容易にするVIOは検討する価値がある。
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