導入が進むOpenStackに潜む「間違ったアプローチ」に注意:ダメなプライベートクラウド導入とは?
Walmart、eBay、CERN、Comcastなど、大手企業や組織による採用が進むOpenStack。企業は今、この技術を真剣に検討すべきかもしれない。だが、多くの企業は間違ったアプローチをしがちだという。
バンクーバーで開催されたOpenStack Summitで、スーパーマーケット最大手のWalmartが同社のEコマース戦略強化のために「OpenStack」を導入したことを発表した。
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米WalmartLabsでクラウド運用とエンジニアリング部門の上級職を務めるアマンデープ・シング・ジュンジャン氏は次のように語った。「E-commerce 3.0の要は、全ての顧客が全ての在庫をいつでも手に入れられるように流通を組み合わせたことだ。これにはデジタルの世界と現実世界を統合する必要がある」
世界最大手小売業者のEコマース戦略の鍵となるがOpenStackだ。同社の狙いは、複数の販売チャネルを使って顧客のショッピング体験を改善するために、開発者が新しいアプリケーションを作成・導入できるようにすることだ。
アジリティと柔軟性
OpenStackを導入している企業には、他に米PayPalがある。同社は金融取引を全てOpenStack上で運用している。また、PayPalの関連会社である米eBayはITインフラの20%がOpenStackを基盤にしている。ただし、開発とテストは全てOpenStack上で行っている。オークションサイトの開発者は、その優れたアジリティと柔軟性によって、これまで以上に迅速にアプリケーションを投入できるようになっている。
OpenStackはオープンソースなので、プライベートクラウド構築のコストは削減される見込みがある。同時に、eBay、スイスのCERN、米Comcast、PayPalなどの企業は、OpenStackを直接導入することでサプライヤーに縛られなくなったと調査会社の米Forrester Researchが報告している。
だが、見込まれるのはITインフラのコスト削減だけではない。
アナリストのローレン・ネルソン氏は新たな調査報告書「OpenStack is ready, are you?」に次のように書いている。「現実には、OpenStackは、革新的な開発作業を行えるように企業向けに特別に設計された全く新しい環境にはかなわない。OpenStackを導入すれば、アジリティや開発効率は大きく向上するが、仮想化や統合の作業には直接関係しない」
従来のIT環境をプライベートクラウドへ移行することに関連付けてOpenStackが取り上げられることがよくある。ネルソン氏によれば、プライベートクラウドを既存のデータセンターインフラの効率を上げ、運用コストを下げる手段として捉えるだけでなく、変化するビジネスニーズをIT部門がサポートするために、CIOは全く新しいアプローチを作り出すことを考えることも必要だという。同氏によれば、以下のようなアプローチは間違っているという。
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