データベースセキュリティツールは必須なのか(前編)
意外にセキュリティは甘い? データベースのデータ保護に不安を感じる理由
企業のデータセンターに保存されているデータの保護において、データベースセキュリティツールが重要な役割を果たす理由について説明する。
データベースのセキュリティは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)ベンダーの領分だと考えられがちである。RDBMSベンダーは、RDBMSプラットフォームの専門家だ。理論的には、自社データベースを保護する頼れる製品の提供元となる。しかし実際は、RDBMSベンダーはデータベースセキュリティの一部分を担っているにすぎない。
リレーショナルデータベースプラットフォームには、幾つかの重要なセキュリティ機能が組み込まれている。一般的なのは「ID管理」「アクセス制御」「ネットワーク通信の暗号化」である。だが、「ユーザーアクティビティの監視」「SQLインジェクション攻撃からの保護」「脆弱性の評価」など、多くの重要なサービスが用意されていない。また、提供されている機能自体が適切でない場合もある。例えば、データベースが生成する監査証跡には、コンプライアンスリポートに必要な情報が含まれていないことが多い。また、組み込みの暗号化機能は処理速度が非常に遅く、統合には不向きなことが少なくない。
データベースセキュリティの死角
企業では、複数の種類のデータベースを保護しなければならないのが一般的だ。そのようなRDBMSユーザーの要件を考慮すると、データベースセキュリティの死角は拡大する。複数種類のデータベースに機密情報が保存されていると、シングルプラットフォーム製品では適切に保護できない。実際、ほとんどの企業では、米OracleのRDBMSと並行して、「PostgreSQL」「MySQL」、米IBMの「DB2」、米Microsoftの「Microsoft SQL Server」を運用して、プラットフォームごとに固有の重要なビジネス機能を提供している。
企業のセキュリティとコンプライアンスでは、インフラではなくデータの保護が重視されているという問題もある。データのセキュリティは、データベースコンテナを保護するだけでは確保できない。どのような状況で、どのようにデータが使用されるのかという懸念には、データベースとその役割ベースのアクセス制御システムでは対処されていないのが実情だ。
これが、企業のデータセンターの情報保護において、データベースセキュリティツールが絶対的でないまでも重要な役割を果たす理由だ。このようなツールを使用して、企業のデータベースに不足しているデータセキュリティ機能をどのように補完できるのか詳しく見てみよう。
データベースアクティビティの監視
最も重要なデータベースセキュリティの構成要素は「アクティビティの監視」だ。これは一般的に「データベースアクティビティモニタリング(DAM)」プラットフォームと呼ばれている。DAMは、管理者による操作も含め、データベースに対する全てのSQLアクティビティをキャプチャーする。そして、動作やコンテキスト、セキュリティの面からステートメントの誤用がないかどうかを分析する。DAMは幅広い脅威を検出してアラートを発信することができる。また、使用している企業は少ないものの、ほとんどのDAMには特定のステートメントをブロックする機能を備えている。
多くの企業がセキュリティツールとしてDAMを導入している理由は、脅威を検出するためだけではない。DAMは監査リポート用のイベント証跡を正確に収集できる上、データベースに組み込まれている監査ログでは利用できないデータとデータフィルタリングオプションが用意されていて便利だからだ。つまり、DAMのデータベースに対する関係は、セキュリティ情報、イベント管理、ログ管理の一般的なITセキュリティとリポートに対する関係と同じだといえる。
DAMのデメリット
DAMには幾つかの短所がある。それは「ローカルエージェントの導入に時間がかかる」こと、「購入コストが高くなる場合がある」こと、「不適切なアクティビティに対するアラートを確実に生成するには定期的にポリシーを更新しなければならない」ことなどだ。また、データベースクエリをブロックするとアプリケーションの状態やデータの一貫性に予期しない影響が及ぶため、データベースクエリをブロックしないようにする場合もある。
DAMベンダー業界には、セキュリティをさらに重視した小さな下位区分があることも指摘しておきたい。この区分は一般に「データベースファイアウォール」と呼ばれる。データベースファイアウォールは、データベースの手前に配置されるプロキシで、悪意のあるトラフィックをブロックすることを目的としている。データベースとアプリケーションの違いはあるが、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)に似ている。また、WAFと同様に、データベースファイアウォールでは着信トラフィックを認識し、特定のセキュリティ規則に基づいてフィルタリングを行う。それから、ホワイトリストとブラックリストもクエリする。
データベースが外部(インターネット)の脅威に直接さらされている場合には、データベースファイアウォールがSQLインジェクション攻撃をブロックして好ましくないクエリをフィルタリングする。また、アプリケーションを変更するのに多くのコストや時間がかかる場合には、データベースファイアウォールが役立つ。これと同じように、ユーザーの資格情報に応じてクエリ結果を編集またはマスクするプロキシサービスがある。このようなプラットフォームは「データマスキング」と呼ばれる。要求が疑わしいと見なされる場合や要求した全てのデータを見る十分なアクセス許可がユーザーにない場合は、クエリ結果を変更してユーザーに送信する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
6
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
9
2035年までに1億4500万台、急拡大する「フィジカルAI」市場の勝者は誰か
-
10
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー