Wikipediaのジミー・ウェールズ氏、政府のネット監視を「口撃」:ネット監視に暗号化で対抗
Wikipediaの創始者ジミー・ウェールズ氏が、政府による通信の傍受を痛烈に批判。暗号化通信によって政府に対抗するべきだと訴えた。
オンライン百科事典「Wikipedia」の創始者ジミー・ウェールズ氏は、2015年10月に英ロンドンで開かれたIT関連カンファレンス「IP EXPO Europe」で基調講演を行い、英国政府が組織的にインターネットを監視していることを非難した。同氏は、プライバシーの保護という基本的人権が侵されてはならないと警告する。
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国家の統治のために個人の通信を政府が傍受する必要があるとデビッド・キャメロン英首相が釈明したことに対して、ウェールズ氏は「言語道断だ。全くばかげた、愚かな見解だ」と切り捨てた。
最近のWebサイトの多くは、戦略としてセキュリティが組み込まれていると同氏は主張する。「これは道徳的な観点から考えるべき問題だ。ユーザーの唯一の選択肢は、HTTPSをデフォルトで使うことだ。安全性に不安があるからといって、管理者(政府)にユーザーのデータを見せているのが現状だ」
基調講演でウェールズ氏が公開したスライドの中に、同氏の近い将来の見通しも含まれていた。それによると、2016年までにインターネットの全トラフィックの65%は暗号化されるという。同氏は、Wikipediaのページも既に暗号化されていると説明する。つまり、当局は誰がWikipediaにアクセスしたかを把握することはできるが、個々のユーザーがどのページを閲覧したかまでは把握できない。
さらにウェールズ氏は説明を続ける。「エドワード・スノーデン(による内部告発)の直接的な結果として、インターネット空間の安全性を守るニーズがあるという理解が、一般の人々にも高いレベルで広がった。サービスプロバイダーに対するSSLサービス提供の要求も高まってきた。グローバルなレベルでSSLのトラフィックは増えている。モバイルネットワークのトラフィックの80%以上が、この1年(12カ月)以内に暗号化されるだろう」
しかし、SSLはサイバー攻撃に対してはやや頼りない。「OpenSSL」による認証の検証部分の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用し、攻撃者が暗号で保護されたWebサイト、メールサーバ、VPNまで偽装する事件が最近発生している。インターネットユーザーの間にここまで暗号化通信が広まってしまうと、政府機関のハッカーは、最終的にはインターネットを直接管理することを目指すのではないかと、ウェールズ氏は予測する。
大量のデータからのデータハーベスティング
同氏によると、インターネットサービス企業は、ユーザーのデータを全て保存するように(政府に)強制されているが、これは無意味な施策だという。データは暗号化されているので、公安当局もこのデータから人々の行動を追うことはできないとウェールズ氏は主張する。
さらに同氏はこんな主張もしている。
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