分散アプリケーションのライフサイクル管理で前進
運用管理機能を強化した「Docker」、IT部門のお墨付きを得られるか?(1/2 ページ)
Dockerは2015年11月、運用や管理を向上させるオンプレミスのCaaS(Containers as a Service)ソリューションとともに、Dockerコンテナのセキュリティ強化を発表した。
開発者の間で急速に普及が進んでいる米Dockerのオープンソースコンテナ管理ソフトウェア「Docker」。その勢いに乗ってエンタープライズ市場におけるコンテナ技術の包括的なサプライヤーを目指す同社は、運用に焦点を当てた製品の拡充を打ち出した。
Dockerは2015年11月中旬、スペインのバルセロナで開催した開発者カンファレンス「DockerCon Europe 2015」で、Dockerベース分散アプリケーションのライフサイクル管理を実現するための一連の機能やソリューションを発表した。発表されたのは、Dockerコンテナの新しいセキュリティ機能に加え、任意のインフラを使用した本番環境に分散アプリケーションを展開し、管理するためのオンプレミスソリューション「Docker Universal Control Plane 1.0」など。このソリューションの提供は、参入ベンダーが増えている「Containers as a Service(CaaS:サービスとしてのコンテナ)」分野におけるDockerの新たな展開だ。
関連記事
Dockerとは
Dockerをサポートするサービス
Dockerのセキュリティ
Dockerはこれまで、主に開発者の支援に力を入れてきたので、運用分野への取り組みを大きく進めようとしているのは興味深いと、米調査会社451 Researchのリサーチマネジャーを務めるジェイ・ライマン氏は語る。このことは、市場がある程度成熟してきていることも示している。Dockerが大企業や潜在顧客との対話を重ねていることが背景にあるという。
「Dockerは、企業の運用担当者やIT幹部の要望にもっと応えていこうとしている。IT部門のお墨付きを得られるアプリケーションコンテナを目指しているからだ。それはコンプライアンスとセキュリティのさまざまな要件を全て満たすコンテナということだ」(ライマン氏)
Dockerは、企業のセキュリティ上の懸念に対処するのに必要なことを行っているが、コンテナが仮想マシン(VM)と同様に安全と思われるようになるまでにはまだ遠い道のりがあり、コンテナがマルチテナントで利用される場合は特にそうだと、ライマン氏は指摘する。
「ツールや管理、セキュリティ、そしてVMに寄せられている信頼という点で、コンテナは高いハードルを越えなければならない。企業は愚かではないが、コンテナがVMとほとんどまたは全く同じ機能やセキュリティを備えているという期待があると思う。実のところ、そうではない」(ライマン氏)
ハードウェアベースのセキュリティ機能
DockerCon Europeで発表された新しいセキュリティ機能の1つが、コンテナイメージのハードウェア署名だ。この機能はあらゆるインフラで利用でき、開発時とその後の更新時にコードのデジタル署名を可能にする。イメージ発行者の真正性を確認するためのフレームワーク「Docker Content Trust」をベースに開発された。同じく発表された「Docker Hub」の「Official Repositories」のイメージスキャンおよび脆弱性検出機能も、このフレームワークをベースにしている。この機能はコンテナの内容の適切な理解を目的としている。
ユーザー名前空間によるきめ細かなアクセス制御機能も発表された。この機能では、運用担当者がユーザーグループごとにコンテナの権限を指定できる。これによって、指定したシステム管理者だけがホスト上のルートにアクセスできるようにするとともに、指定したサービスへのユーザーグループのアクセスを制限することが可能だ。
イメージスキャンおよび脆弱性検出機能は、Docker Hubの全てのOfficial Repositoriesで利用できる。名前空間によるアクセス制御機能とハードウェア署名機能は、「Docker Experimental」リリース(正式リリース前のビルド)で提供されている。
「セキュリティ上の問題は、依然としてコンテナ導入の最大の障害となっている。ポータブルコンテナを大量に使う場合は特にだ」と、米調査会社IDCのリサーチマネジャーを務めるラリー・カルバリョ氏は語る。ハードウェアでこの問題に対処するのは賢明だ。一般的に、ハードウェアに侵入するのは難しく、将来、多数のコンテナが使われるようになっても、ハードウェアを利用すれば効率的なセキュリティ対策が可能だからだ。
「コンテナは膨大な数になるので、ハードウェアベースのセキュリティは、彼らが取り組んでおくべきことの1つだった。ソフトウェアレベルでは、あまり大規模なセキュリティソリューションは提供できない。オーバーヘッドが大き過ぎるからだ」(カルバリョ氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[スパイスファクトリー株式会社] レガシーに消えるIT予算8割 「刷新か延命か」をAIと人で見極めるための手順 -
製品資料
[JetBrains s.r.o.] ソフトウェア開発は「コーディングエージェント」でどう変わるのか? -
事例
[テクバン株式会社] 太陽ホールディングスは国内外拠点の端末5000台をどう管理しているのか? -
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
2
「セキュリティ運用と侵入後の初動防御」に関するアンケート
-
3
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
4
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
5
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
6
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
7
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
8
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
9
「契約業務のAI活用」に関するアンケート
-
10
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー