地域包括ケアシステムの課題解決を目指し、愛媛県西予市が採用したクラウドとは?:介護スタッフ間の円滑な情報共有を実現(1/2 ページ)
慢性的な介護関連職の人材不足に悩む愛媛県西予市。同市は課題解決のためにクラウドサービスを採用した。その取り組みを紹介する。
地域包括ケアシステムの課題とは
介護保険を巡る状況は、大きな転換期に差し掛かっている。政府が推進する地域包括ケアシステムでは、高齢者が住み慣れた地域の中で安心して末永く暮らせるように、医療や介護、保健の連携をはじめとして地域の実情に合わせた介護予防や日常生活支援の取り組みが求められている。安倍晋三首相が掲げる経済政策(アベノミクス)の「新3本の矢」では「介護離職ゼロ」を目指し、介護の施設・在宅サービスなどの拡充目標を現在の38万人から50万人以上に引き上げた。一方で、介護サービスの担い手となる介護スタッフの人材不足の問題が深刻化している。
愛媛県西予市も人材不足に悩む地域の1つだ。愛媛県にある市の中では面積が一番広い同市の人口は4万556人で、高齢化率が39.8%(2015年10月1日時点)。2025年には80%が限界集落に該当するという過疎地域の1つだ。
西予市社会福祉協議会が運営する西予市地域包括支援センターのセンター長・介護予防支援事業所管理者である河野 千恵香氏は、「地域包括ケアシステムの一番の課題は、スタッフ不足だ」と言い切る。高齢者の総合相談窓口という役割を担い2007年に設立された地域包括支援センターでは、利用者が高齢になるほど相談領域が広がり、一つ一つの相談の困難さが年々増えているという。また人材不足も深刻で「1件訪問すると半日がつぶれることもしばしば。保健師、社会福祉士、ケアマネジャーの3職種の人材が不足している」と河野氏は説明する。
こうした状況の中、西予市はサイボウズのクラウド型業務アプリケーション開発基盤サービス「kintone」を導入し、介護サービス事業における課題解決に取り組んでいる。同市の取り組みを紹介する。
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