誰がどの場面で使うのか? ユースケースで生まれ変わるデスクトップPC:ユーザー中心のIT
斜陽のPC市場で活路を見いだそうとしているPCメーカー。各社は実際のユースケースを基に、PCに新たなイノベーションを起こそうとしている。
ここ5年間、PCの売り上げは減少を続けている。調査会社Gartnerの暫定的な集計によると、2015年第4四半期のPC出荷台数は全世界で総計7570万ユニット。前年同期比8.3%減となった。
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売り上げの数字を詳細にみていくと、法人向けのPCはコンシューマー市場ほど落ち込んではいない。「Windows XP」のサポート終了と「Windows 10」への移行による、PCのアップグレード需要は継続している。
Windows 10は、実業界では急速に普及するとGartnerは予測する。
ただし MicrosoftはWindows 10でOSの更新方法を変更した。そしてWindows 10以降、これまでのような大規模なバージョンアップは行わないと発表しているので、PCメーカーが需要を喚起できる機会は当分見当たらない。
Gartnerのリサーチディレクター、ランジット・アトワル氏によると、PCメーカーは業務用PCの需要を喚起する試みとして、デバイスの多様化を検討し始めているという。
働く人のペルソナに注目するDell
ではその多様化とは、具体的にどのような形になるのだろうか。年始恒例の展示会「Consumer Electronics Show(CES) 2016」で、DellはUSB Type-Cコネクターと無線ディスプレイを中心に、新しい作業空間を定義することを目指して幅広い製品を発表した。
同社は、業務用PCのラインに「Dell Data Protection | Endpoint Security Suite Enterprise」(以下、Dell Data Protection)を導入し、セキュリティも強化した。Dellによると、Dell Data Protectionは人工知能と機械学習を取り入れたCylanceのテクノロジーを統合したもので、巧妙化し執拗(しつよう)に襲ってくる脅威やマルウェアを先回りして防御するという。
同社でクライアントソリューション部門の製品マーケティングマネジャーを務めるファーガス・マーフィー氏は次のように話す。「CEOのマイケル・デルは従業員に、組織の労働力を進化させるイノベーションを実現しろと命じた。そこでわれわれは、現在の職場は以前とはどこが違うのかに注目して調査した。すると、10年前に比べてオフィスの(利用)面積が小さくなっていることに気づいた」
この調査で、従業員の個人利用スペースが59%も減少している一方で、オープンスペースは大幅に増えていることを突き止めた。また在宅勤務が広がっており、勤務時間の一定の割合を在宅勤務としている人が35〜50%に上ることも分かった。
この調査から、職場で使う端末や製品はモバイル機能を強化しなければならないことが分かる。「われわれが話を聞いた企業では、優秀な人材を確保するには、社内で利用するテクノロジーがカギになるとCIO(最高情報責任者)は感じていた」とマーフィー氏は明かす。「職場を見渡すと、1998年以降に生まれたミレニアル世代や『ジェネレーションZ』といわれる人々が、2020年には多数派となるだろう。こうした人々は生まれたときからインターネットに触れていて、ソーシャルメディアの利用や(ネットを使った)コラボレーションは当たり前。クラウドの利用に対する抵抗感もない。われわれは、『仕事はいつでもどこでもできるもの』という彼らの精神に応えようと考えている」
Dellはユーザーコンピューティング戦略の立案に当たって、オフィスワーカーのタイプを次の4つと定義した。
- デスク中心型:勤務時間のほとんどをデスクの前で過ごす人
- 社内移動型:自席よりは会議室にいる時間の方が長い人
- 外勤型:いわゆるモバイルワーカー
- 在宅型:オフィス以外の場所で週30時間以上仕事をする人
「IT部門は、従業員のタイプ構成に注目するべきだ。どの企業にも当てはまる万能策は存在しない。生産性を最大に引き上げるには、各ユーザーに注目していかなければならない」とマーフィー氏は主張する。
例えば「社内移動型」の人はケーブルの接続や確保に悩みたくないので、無線でプロジェクターに投影できる仕掛けが欲しくなるものだと同氏は説明する。またこのタイプの人々は、いつでもさっと気軽に集まってコラボレーションできる環境を求めている。
全ての機器を1種類の端末でリプレースする戦略のHP
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