セキュリティ研究者が警告
iPhone安全神話崩壊か、悪質極まる「SandJacking」攻撃の手口とは
「SandJacking」という攻撃手口が出現した。これは攻撃者が「iOS」端末に物理的にアクセスし、悪質なアプリをインストールすることを可能にするというものだ。
「SandJacking」と呼ばれる新しい攻撃手口は、Jailbreak(脱獄)していない「iPhone」に対しても悪質なアプリを組み込める。最新の「iOS」バージョンもターゲットになる可能性がある。
2016年5月末にオランダのアムステルダムで開催された「Hack In The Box(HITB)」カンファレンスにおいて、セキュリティ研究者がSandJackingのデモを行った。Appleは、この攻撃を可能にする脆弱性をまだ修正していない。
SandJackingは、ロックを解除したiPhoneに攻撃者が物理的にアクセスし、正規のアプリを悪質なアプリに入れ替えることにより、標的となったiPhoneからサンドボックス内のデータにアクセスすることを可能にする。
SandJacking攻撃はiOS用の統合開発環境「Xcode 7」の機能を利用する。Xcode 7は、開発者が有効なApple IDを使って取得した証明書でカスタムアプリに署名することを可能にする。これにより、AppleのApp Storeの制限に縛られることなく、カスタムアプリを直接配布できる。モバイルセキュリティ企業のMi3 Securityで研究開発担当チーフアーキテクトを務めるチリック・タミール氏は、先日開催された「Black Hat Asia 2016」において、コンセプト実証ツールキット「Su-A-Cyder」を使って旧バージョンのiOSに対して同様の攻撃のデモを行った。
Su-A-Cyderツールキットは、SandJackingの攻撃プロセスを自動化する。最初にiOS端末のバックアップを取り、次に攻撃目標の(正規の)アプリを削除した上で悪質なアプリをインストールする。さらに、端末にインストールした悪質なアプリを残したままバックアップを復元する。その結果、このアプリはサンドボックス内のあらゆるアプリデータにアクセスできるようになる。
「Su-A-Cyderは、オープンソース技術と自動化スクリプトを組み合わせたツールだ。このスクリプトは、暗号化したiOSアプリに悪質なコードを注入した上で、匿名のApple IDで再署名した後、再パッケージしたアプリを未脱獄端末にインストールするという一連プロセスを自動化する」とMi3 Securityは記している。「Su-A-Cyderはツールセットであり、実際のアプリでも悪質なコードでもないため、ウイルス対策機能はSu-A-Cyderが使われたことを認識できない」
SSL暗号化企業のVenafiでセキュリティ戦略と脅威情報を担当するケビン・ボーセック副社長は「このSandJacking攻撃は、証明書が強力な潜在的武器になったことを示すものだ。暗号鍵とデジタル証明書は、オンライン上の信頼関係の基盤であり、アプリを信頼すべきかどうかをユーザーのソフトウェアや端末が判断するのに用いられる」と述べている。
「今では、未認証のApple証明書を無償で発行することが、マルウェアのインストールを可能にする手っ取り早い手段となっている。デジタル証明書で認証されたマルウェアのサンプルは既に2000万本を超えている。悪党たちはデジタル証明書が非常に強力な武器になったのを知っている。人間の免疫系統の仕組みをデジタル世界に適用し、どの証明書が信頼でき、誰が敵か味方かを判断できるようにすべきだ」(ボーセック氏)
Mi3 Securityは2016年1月に、Appleに脆弱性を通知するとともに、パッチをリリースするよう求めた。タミール氏によると、5月23日の時点では修正作業が進行中だったという。
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