POSマルウェア「Pro POS」を考察
欠陥だらけの「POSレジ攻撃ウイルス」が感染を広げた2つの理由
POSマルウェアである「Pro POS」は欠陥だらけであることが専門家の調べで分かった。にもかかわらず、Pro POSの攻撃が成功してしまう理由とは何か。どうすれば防げるのか。
最近広まったPOS(販売時点情報管理)システムを狙ったマルウェアの一種「Pro POS」は、攻撃者にとって入手や利用が非常に容易で、専門家が当初考えたよりもはるかに洗練度が低い――。Cisco Systemsのセキュリティ研究者が発見した事実だ。
Pro POSは単純であるにもかかわらず、なぜ企業は感染を防げなかったのか。
以前は巧妙に作り込まれていたマルウェアがありふれたものになり、スキルの低い攻撃者でもその技術を利用して、利益を稼ぐのに十分な台数のシステムを攻撃できるようになった。Pro POSが使われるようになった背景には、こうした現状がある。Pro POSの作者は、ソースコードが流出した「Alina」というマルウェアの亜種を開発のベースとして用いたようだ。そして幾つかの要素の名前を変え、POSシステムを狙った不完全な新機能を追加したらしい。
作者は侵入を隠蔽(いんぺい)するrootkit機能をPro POSに追加したが、これはまだ利用されていないようだ。Pro POSはコードを実行する機能も備えるが、ファイルの暗号化に「Password」というパスワードを使うなど、正しく実装されていない。Ciscoの研究者によると、Pro POSはセキュリティ脆弱(ぜいじゃく)性だらけで、その中には任意のPHPコードの実行につながる大きな欠陥も含まれる。
Pro POSは重大な脆弱性を含んでおり、かつ仕組みも単純だ。こうした限界があるにもかかわらず、POSシステムへの侵入に利用し得るのはなぜか。Pro POSは、一般的なシグネチャベースのマルウェア対策をすり抜けるように手が加えられている可能性があるのが理由の1つだ。またUSBメモリなどの外部媒体を通じてPOSシステムにロードされる可能性も否定できない。
決済用カードにICカードを利用し、本人認証に暗証番号(PIN)を利用する「チップ&PIN」に非対応のレガシーなPOSシステムのセキュリティを確保したり、こうしたシステムを刷新してEMV技術(決済用ICカードの標準規格)を導入したりするには、多大なコストが掛かる。このことが、Pro POSのようなPOSマルウェアが開発され、広まってしまう背景にある。企業は規模の大小を問わず、クレジットカードのセキュリティに関する国際基準「PCI DSS」で規定されたセキュリティ対策を講じ、POSシステムの保護を確保するとともに、チップ&PINへ移行する必要がある。
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