iPhone、iPadでその場で支払い
イケてるショップの必需品、モバイルPOSの本当の効果とは?
中小小売業でモバイルPOSシステムの人気が高まっている。接客の自由度や効率性を向上することができる。また、店舗イメージなどブランディングにおいても有効だ。
中小小売業の間でモバイルPOS(販売時点情報管理)の人気が急速に拡大している。
米Yankee Groupのアナリスト、ジョーダン・マッキー氏によると、開業から3年以内の小売業者の51%が、今後1年以内のモバイルPOS導入を検討しているという。2013年12月の調査では、従業員20人未満の小規模小売業の34%がモバイルPOSを導入済みで、19%が1年以内の導入を計画していることが分かった。それより少し規模の大きい従業員20~99人の小売業では、39%がモバイルPOSを導入済み、30%が近々導入する計画だという。
モバイルデータによる顧客サービスの向上
モバイルPOSが小規模小売業の人気を集める大きな理由の1つが低コストだ。クラウドベースのシステムなら、月額50~100ドル程度で導入可能だとマッキー氏は話す。だが、それよりも重要なのは、どの規模の小売業においても、モバイルPOSなら、売り場で接客する従業員の数を自由に増やすことができる点だと専門家は見ている。
「レジに張り付かずに店頭で接客できるところがモバイルPOSの大きな長所だ」とマッキー氏は言う。「接客したその場で支払い手続きができるので、顧客がレジへ向かう間に気が変わって購入をやめてしまうといった販売機会損失を防げる」
マッキー氏によると、モバイルPOSは一般に在庫管理システムに連結しており、店員が顧客のために在庫状況を確認したり、別の店舗や倉庫の商品を注文したりすることもできるため、販売機会拡大につながるという。
「売り場から離れず、客のそばにいながら在庫を確認できる」(マッキー氏)
米ペット用品チェーン店、Hound About Townは、3年前の開業時からクラウドベースのモバイルPOSを利用している。オーナーのドノバン・ケイン氏はiPhoneを使い慣れていたため、米LightSpeedのiPhone/iPad用POSアプリが使いやすいと感じた。このアプリは、在庫管理、商品カタログ、レジ機能、従業員のスケジュール管理、CRM(顧客関係管理)、クラウドストレージに対応している。iPhoneならどこにでも持ち運べるので、店が混んでいるときは外の歩道でも客の支払い手続きができ、店頭で客と話をしながら別の客の清算を処理することもできる。
モバイルPOSのおかげで、地元のイベント会場での販売もはるかに簡単になった。かつてのように昔ながらの金庫と領収書を持ち運ぶ必要はない。Wi-Fiか3G回線さえあれば、支払い処理、注文、配送手続き、在庫確認ができる。
家具販売の米Wrightwood Furnitureの共同創業者でCEOのマイケル・コーエン氏は、採用した「Shopify」システムでオンライン販売と実店舗販売を1つのデータベースで処理していると話す。「四六時中、2つのデータベースを確認するようなことは不要で、全てを1つのデータベースで管理できる。今後は来店した顧客の分類や分析も始めたいと考えている」
モバイルPOSと商品の相性
モバイル端末は店頭での情報提供にも役立つ。売り場の店員はモバイル端末で情報を参照しながら客の買い物を手伝うことができる。そう話すのは、小売業コンサルティング会社、米R.J. Calio Consultingのディック・カリオCEOだ。特に向いているのは、健康食品、カメラ用品、カヤックやカヌー、銃器など、複雑な商品や専門的な商品だという。そうした商品は、高価だったり、さまざまな付属品を伴ったりするため、客は商品に関する詳しい情報を求めるからだ。
「カミソリやシェービングクリームのような日用品の販売なら、店内のどこに置いてあるかさえ分かれば事足りるが、専門性の高い商品の販売は違う」とカリオ氏は述べている。「対面販売では、どこでそのカヤックに乗るのか、1人乗りか2人乗りか、レベルはどれくらいか、どんな付属品が必要かといったことを、従業員は客と話す。そうした情報をタブレットで調べられれば、より良い接客が可能になる」
反対に、日用品を多く販売する店や、レジ横商品の衝動買いで売り上げ向上を狙うような店には、モバイルPOS戦略はあまり向いていないという。
「ROI(投資利益率)の観点から見て、モバイルPOSシステムによって、どれくらい顧客経験が向上し、売り上げ増加を見込めるかを検討する必要がある」(カリオ氏)
モバイルPOSが単純に店のイメージにしっくりくるというケースもある。例えば、米Lost Weekendはサーフィンがテーマのコーヒーと雑貨の店で、スマートフォンを持っているような若い男性客が中心だ。客の多くはiPhoneやiPadを使っており、米SquareのiPhone用モバイルPOSが店のカルチャーにぴったり合っている。ケイン氏のペット用品店で採用しているLightspeedにも同じことがいえる。
「小さなことだが、高級ペット用品店という当店のブランドイメージに合っている」とケイン氏は語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「AIっぽい広告」の山に埋もれさせない AIマーケで着実に成果をだす秘訣とは? -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「広告投資」調査レポート2026:勝ち組企業は何に投資しているのか? -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 「問い合わせの渋滞」を解消、情シスの負担を軽減する“次世代型AI”活用方法 -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 対話型AIエージェント×RAGで社内情報の検索/問い合わせを効率化するには? -
技術文書・技術解説
[株式会社クレスコ] ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
7
「配信に1カ月」の代償 カルビーがLINE運用で外部依存を断ち切った理由
-
8
「従来のRAG」は限界か Databricksが示す「適応型検索」の勝算
-
9
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
10
技術力だけでは「上に行けない」 シヤチハタCDOが語る、情シスが次の役割をつかむ条件
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー