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Facebookが定めたサーバ規格「Open Compute Project」はなぜ登場したのか連載「最新のOpen Compute Projectで何が変わった」第1回(1/2 ページ)

今、データセンターを構成するサーバ規格のデファクトスタンダードとなっているのは、Facebookが独自に策定した規格だ。ハードウェアベンダーでないFacebookの独自規格がなぜ標準となり得たのだろうか。

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 データセンター向けハードウェアの仕様や設計図を公開するプロジェクト「Open Compute Project」はもともと、Facebookが言い出したものだ。Facebookは、汎用(はんよう)のサーバではなく、独自の規格に基づいたサーバを自社で開発して利用していた。ところが同社は2011年にこの独自の規格を公開し、業界全体で利用できるようにした。これがOpen Compute Project(以下、OCP)規格であり、策定完了と同時に公開した。

 そもそも、なぜFacebookは独自規格のサーバを利用するのか。この理由は効率性の改善にある。Facebookが2016年第2四半期に発表した数字では、同社のサービスには全世界で17億人ものユーザーがいる。北米のアクティブユーザーに限っても2億2600万に達する。これを支えるために自社で巨大なデータセンターを3カ所も用意している。しかし、それだけでは間に合わず世界中でデータセンターを借り、膨大な数のサーバを稼働させている。

 こうした膨大なサーバを動かしている企業にとって一番重要なことは何か。それは運用コストだ。その運用コストの大部分を電気代が占める。それは単にサーバを動かす電気代だけでなく、通信機器を動かす電気代、サーバを冷却する空調費用なども加わる。最近ではサーバそのものの消費電力は以前から増えておらず、性能と消費電力の比率でいえば年々改善している。しかし、ユーザー数の増加とこれに伴う処理量の増加で相殺しており、全サーバの消費電力合計では増えている。サーバの消費電力総量が増えればその分冷却能力を高める必要があり、それは空調費用の増加につながる。

 この消費電力と冷却電力をどれだけ低く抑えるかがデータセンターの運用で重要になっている、というあたりからOCP規格が登場した経緯を説明していく。

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