モバイル化が引き起こす生産性の低下
同僚の連絡先が見つからない、「Office 365」はこの問題をどう解決する?
企業がモバイル化を進めるにつれ、システムに格納されている社員の連絡先情報の検索と更新に費やす時間は徐々に増えていると専門家は指摘する。
社員の正しい連絡先情報を特定する作業によって、ユーザーは毎年、何日もの生産的な作業時間を失っている可能性がある。その結果、生産性、収益、効率性に見逃せないほどの損失が生じる。
あるソフトウェア会社でアプリケーションアーキテクトマネジャーを務めるブラド・エイラーズ氏によれば、あらゆる規模の企業の社員が、これと似た状況を確実に経験しているという。ユーザー中心の機能が欠落した状況で情報を見失うと、ある種の相互作用が起こり得る。エイラーズ氏は毎週のように同僚とその作用に見舞われているという。
2016年9月末に開催された「Microsoft Ignite」で、エイラーズ氏は次のように述べている。「先週、電話をかけてほしいとメッセージを送ってきた人物に連絡しようと思ったところ、私が見つけたその人物のプロファイルには、電話番号が登録されていなかった。それから名簿を確認したところ、そこには間違った電話番号が記載されていた。連絡先の情報が見つからないというトラブルは、週に1回というペースで起こっている」
Hyperfish共同創立者で最高技術責任者(CTO)のクリス・ジョンソン氏は同イベントにおいて、Microsoftの「Office 365」で社員が情報を簡単かつ効率的に見つけられる機能について説明した。エイラーズ氏は、ジョンソン氏の話を聞くために集まった参加者の1人だった。
ごたまぜになった社内の情報とその情報の均一化および体系化を図る必要性が、近頃の課題となっている。企業がモバイル化を継続的に進め、従業員との連絡を維持する手段をより多く必要とした結果、連絡先情報の特定に関わる問題は確実に大きくなっている。
「企業はヘルプデスクや情報の更新に莫大な費用を費やさなければならない。ユーザーの観点では、各自の情報を更新するだけで1年当たり平均4時間もの時間が必要になる。さらに、連絡先についての情報、文書、組織図を調べるのに費やす時間は何日分にもなる」(ジョンソン氏)
ジョンソン氏は10個のユーザー中心の機能を紹介する中で、これらの機能によって情報サイロを解決できることと、社員には各自の情報を最新に保つ責任があることを強調した。ジョンソン氏らが2015年に創業したHyperfishは、企業がこれらの社内プロセスを完全に把握することをサポートする。
ジョンソン氏は、基本的な連絡先情報や写真が掲載されているOutlookの連絡先カードなど日常的に使用する各種機能に言及しながら「これらの機能はデータがなければ価値がないも同然だ」と述べている。
ビジネスプロセスの自動化などの機能は、データが不足していたり、不完全だったりすると意味を成さない。「今日では数多くの作業を自動化できる。だが、自動化した作業はデータに基づいて決定を下さなければならなくなる。そしてデータが存在しなければ、その作業は行われない」とジョンソン氏は忠告する。
合併や買収は、企業が情報の問題に直面することが多い状況の1つだ。ほとんどの場合、社内で社員の情報を収集する手段は企業によって大きく異なっている。ジョンソン氏は、次のように指摘する。「情報の統合は大掛かりなITプロジェクトであり、それ故に情報の統合を行わない企業もあるほどだ。ただし、その場合はビジネスに悪影響をもたらす」
Hyperfishは、社員が1つの場所でのみ情報を更新した際に警告を発し、企業がこの問題を解決できるよう試みている。加えて、人工知能を導入して、企業が名簿で欠落している項目を埋める手助けもしている。Hyperfishを立ち上げる前、ジョンソン氏はOffice 365のグループプロダクトマネジャーを務めていた。
「ユーザー中心の機能は、Office 365が売りにしている部分だ。個人データがなくても一部の機能は動作する。しかし、使いやすさはユーザーにとって大事なもので、写真や肩書などの適切な情報がそろえば、機能の利便性は高まる」(ジョンソン氏)
情報サイロが原因で日々起こっている問題は、ささいなことに思えるかもしれない。だが、その積み重ねによって、効率と手軽さへの悪影響は雪だるま式に膨らむだろう。
エイラーズ氏は、次のように主張する。「情報の検索に毎日きっかり30分費やしているわけではないにしても、目の前にあって然るべきものを別の方法で見つけなければならないために、日常的な作業時間は少しずつ増えているのだ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
3
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
4
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
5
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
6
「高すぎるGPU」を捨てAI推論をCPUへ Armが示す電力とコストの現実解
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
9
バイブコーディングの限界を突破するお役立ちOSSツール「Spec Kit」とは
-
10
「有線LAN環境」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー