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「特別なソフトウェアは要らない」──GAME Digitalの顧客データ活用の極意顧客データ活用事例

ゲーム関連企業のGAME Digitalは、徹底した顧客データ収集と活用によって、さまざまな経営指標を向上させている。しかし、「われわれは特別なソフトウェアを使っているわけではない」という。

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Computer Weekly

 GAME Digital(以下「GAME」)は英国に本社を置くビデオゲーム企業で、1991年からゲーム用の媒体や機器を販売している。

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 ただし、昨今のコンシューマー(一般消費者)市場はすっかり様変わりした。コンシューマーはより気まぐれになり、実店舗、オンライン、モバイルなど、あらゆるチャネルにおいて自分のためにパーソナル化された体験を期待するようになった。

 同社のグループインサイト(知見)担当ディレクター、フレッド・プレゴ氏が、eコマース業者向けのカンファレンス「Internet Retailing Expo」(2017年3月、開催地:英国マーストン・グリーン)において、本誌Computer Weeklyのインタビューに応じた。プレゴ氏が4年前に入社したのを機に、同社は顧客のデータを収集し始め、店舗を今どきの訪問客向けにするのに利用しているという。

 「当社は、より魅力的で収益性の高い顧客体験を実現する手段として、データを活用してきた」と同氏は説明する。「われわれは、ビジネスの基盤となる部分に知見を取り入れている」

 この変革は、GAMEが「報酬」アプリの配布を開始したことから始まった。顧客は、従来のポイントカードではなく、各自のスマートフォンにこのアプリをインストールしてGAMEの店舗でロイヤリティー(顧客忠誠度)ポイントをためられるようになった。

 ただし店舗のPOSレジでポイントカードを読み書きする代わりに顧客のスマートフォンをスキャンする程度の変化では、これまでと変わらないのも同然。これでは店舗の魅力が増すほどではなく、来店客を増やすことに必ずしもつながらないことはプレゴ氏も認めている。

 そこでGAMEはロイヤリティーアプリを刷新し、集めたポイントに応じて功績を認定する仕掛け、すなわち「表彰」を行うゲーミフィケーション要素をアプリに組み込んだ。「表彰」は、顧客がビデオゲームをプレイする間に行われるものと似ている。これにより、顧客の行動は変わり、報酬を集めようとするようになった。

 表彰を取り入れたことで、アプリからブランドにアクセスして何らかの操作を実行する顧客数と頻度の両方が増加した。加えて、GAMEの店舗の来客数と、来店1回当たりの売上額も増えた。

 その後、GAMEのアプリにスキャン機能が導入された。これによって顧客はどの店舗でも好きなゲームをスキャンして、タイトルを基にその予告編を見たり、ゲームの詳細情報を参照したり、価格を比較したりすることができる。また、GAMEブランドのロイヤリティーポイント数に応じて、パーソナル化した価格を提示するようになった。

 「われわれは、収集したデータを使用して、顧客がスキャンを実行した際に各自の体験をパーソナル化している」とプレゴ氏は語る。今や数十万人の顧客が、このスキャン機能を利用しているという。

 「われわれがアプリで伝えようとしているメッセージは、『他店で買うのではなく、当店にまたお越しください』ということだ」とプレゴ氏は話す。

顧客データの収集

 その後、店頭でアプリを使う場合に限定して、拡張現実(AR)も組み込まれた。

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