B2C向けのIoT活用
社運をかけて参入するなら「ウェアラブル」「スマートホーム」のどっち?
IoTを使ったコンシューマーブランドはマーケティングのためのリソースが無制限にあるわけではない。立ち上げるべきはウェアラブルのプロジェクトか、それともスマートホームプロジェクトか。
モノのインターネット(IoT)にまつわるお祭り騒ぎはこの10年で成層圏にも達する勢いを見せている。そんな中、企業はどこかの時点でデータ収集に実際の資本を投じるかどうかの決断を迫られることになる。B2Cブランドにとって、販売用データの収集、追跡、分析システムを実装する際のコストは、あっという間に何倍にも膨れ上がるだろう。さらに、それを使うために必要な研修や技術教育にもコストがかかる。
従って、IoTのプロジェクトを立ち上げてアプリを既存のデバイスに接続する場合、またはプロプライエタリやOEMデバイスを自社の顧客に提供する場合、デバイスの分野を絞り込むことが1つの出発点になる。
例えばスマートホームやコネクテッドホームの分野なら、遠隔操作による暖房設備のコントロールから、ガレージの扉の防犯システム、デジタルビデオレコーダー、電球に至るまで、あらゆるモノが含まれる。ウェアラブルならば、主に居場所の特定や健康状態の計測を行う個人向けの端末が中心だ。
両分野ともここ数年で目覚ましい成長を遂げ、そのままの急成長が続きそうな勢いだ。ミレニアル世代やテクノロジー通のジェネレーションX世代は、そうした技術の開発と、その可能性の追求に強い関心を示している。
今のIoTプロジェクトにとって検討する価値があるのは、スマートホームとウェアラブルのどちらの市場か。将来的にはどうなるのか。
ウェアラブル
まずはウェアラブル市場の範囲をはっきりさせておく必要がある。コンシューマー向けのニュースサイトで取り上げられることが最も多いのは恐らくスマートウォッチだが、ウェアラブルの分野はそれよりずっと幅広い。
ウェアラブル技術はまだ、主流層への普及に向けて進出しつつある段階だ。科学と人間工学を結び付ける新たな手段の発見は日進月歩で進む。だが、特定のウェアラブル端末の価値は全般的に不明瞭で、比較的新しい市場の中で進むべき方向を見いだすのは非常に難しい。
一部の企業は人間のデータの計測のみに照準を絞っている。BeBop Technologyのような企業は、人による接触と加圧をモニタリングする技術に投資している。そうしたセンサーは、衣類や複雑な物体に組み込まれて複雑なデータを収集する。
この分野のパイオニア企業は毎日のように新しい可能性を見いだすが、ウェアラブル市場では依然として、手首が一番の注目の的になっている。Motorola、Samsung Electronics、Apple、Fitbitといった大手は、その数十億ドル規模の市場を巡って激しいシェア争いを展開している。
2017年第1四半期のウェアラブルの売り上げは、2016年同期比で17.9%増えた。2017年第1四半期の出荷総数は2470万台に到達。この伸びは今後も続くと予想され、2019年には250億ドルに達する見通しだ。
この市場で利益を上げている企業の1つに中国のXiaomiがある。同社は2010年の創業以来、目覚ましい成長ぶりを示し、最近になってFitbitから、ウェアラブル販売でトップの座を奪った。Xiaomiの秘密は、似たような製品を大幅に低い価格で売り出す点にある。
歩数計や手首に装着するヘルストラッカーも好調だ。新しいイノベーションの波が訪れるまでは、現在の製品の簡素化を図ることが、この分野の市場シェアを確保する優れた手段になる。
この種のシフトは、ウェアラブル端末が飽和点に近づいていることをうかがわせる。こうした技術はまだ目新しい部類にあり、情報量の増加と利便性の向上に焦点が絞られていて、その価値はユーザーによって幅がある。
スマートホーム
ウェアラブルと違って、スマートホーム市場は目新しさからは程遠いように思える。現在のスマートホーム市場は240億ドル相当のシェアがあり、ウェアラブルの市場予想に対して、ほぼ2年先を行く。
この市場の違いは成長予測にある。スマートホーム市場は2022年までに530億~1210億ドルの規模に達すると予想され、5年以内に事実上2倍(あるいは4倍)になる。
この分野で大きな成長が予想される理由は、イノベーションの柔軟性、平均的なコンシューマーへの普及率、優れた価値提案にある。IoTは可処分所得をガジェットに費やして楽しむ富裕層のホームオーナーにB2Cブランドの照準を絞る助けになる。
スマートホーム市場は本質的に、IoTとシームレスに融合でき、現時点でホームオーナーにとっての魅力が非常に大きい。洗濯物をたたんでくれる衣類乾燥機や、正確な芝刈りができるスマート芝刈り機といった想像力に富む機器もある。食品の傷み具合をチェックして、希望すれば食品を自動的に再注文してくれる冷蔵庫のコンセプトや、その日着るべき衣類のハンガーを照らし出すスマートクローゼットといった革新的なアイデアも存在する。
ウェアラブルはデータを収集する。スマートホーム機器はユーザーの時間と、場合によってはお金も節約してくれる。スマートホーム市場を念頭に置いたインフラを開発する企業にとっての主な原動力はそこにある。
Xiaomiはこの分野にも製品の提供を拡大している。イノベーションよりも、複製を簡素化することの方を好む同社は、Fitbitに対して使った戦略をこの分野にも応用しているという見方もできる。
この分野の革新企業は大手から中小まで幅広い。Amazon、Google、そして直近ではAppleも、ユーザーが1カ所から手持ちのデバイスをコントロールできるAI製品を打ち出した。大多数の企業が1つの分野だけを専業とする中で、これは大いに助けになる。その一例として、ホームセキュリティのKunaや照明器具のLIFXが挙げられる。
スマートホーム製品は生活の中の反復を減らし、効率を高め、コスト削減によって元を取ることもできる。この魅力的な価値提案は、現時点でウェアラブルには実現できない。ウェアラブルのイノベーションに大きな飛躍がない限り、スマートホーム市場は消費者にとっての利便性と強力な価値提案に押され、今後も速いペースで成長を続けるだろう。あなたの会社のIoT投資にとって、さらに大きなビッグバンとなる可能性も大きい。
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