サーバの形態が大きく変わる
SSDは「NVMe対応M.2 SSD」が次の標準 サーバ搭載で起きる大変革とは?
「M.2」規格に対応したSSDがウルトラブックやタブレット端末で急速に普及しつつある。10TB以上の大容量やNVMe対応が進めば、サーバへの搭載も加速するかもしれない。
SSDのフォームファクタはディスクの直径やモーターの厚みに制限されず、保護ケースの存在が制約となることもないので、従来のHDDとは異なるサイズや形状の実現を阻む要素はほとんどない。そのため業界は次世代フォームファクタ「M.2」対応のSSDを開発するようになった。M.2は基本的にはエッジコネクターを備えたカード型の小型のフォームファクタであり、以前は「Next Generation Form Factor」という、ある意味そのままの名称で呼ばれていた。
M.2は「mSATA」の後継となるフォームファクタだ。mSATAよりもはるかに小さく、タブレット端末や小型コンピュータに適している。両面実装をサポートすべく一から設計されており、従来の片面実装のフォームファクタと比べて実装密度を大きく向上できる。
M.2規格のSSDには、さまざまな幅と長さの組み合わせがある。業界の主流は幅が20mm、長さが30~110mmのようだ。取り付けの際は、M.2モジュールのエッジコネクターをマザーボードと平行になるよう端子に差し込み、反対端のネジで固定する。非常にシンプルで、コストもかからない方法だ。
M.2コネクターは、PCI Express(PCIe)3.0の4レーン接続の他、SATA接続、USB 3.0接続をサポートする。PCIe 4.0のサポートも計画中だ。これならば、最速SSDを接続するのに十分な帯域幅を確保できる。市場には「M.2 NVM Express」(NVMe)規格のSSDが出回り始めており、2016年8月に開催されたフラッシュメモリに関する世界最大のカンファレンス「Flash Memory Summit 2016」でも多数の発表があった。NVMeは従来の主流であるSATAの後継規格となる。
M.2 SSDは2.5インチSSDや3.5インチSSDよりも小さく、このサイズ差がストレージ容量の差を生む。M.2 SSDの最大容量は2016年のFlash Memory Summitの時点で1TBだったが、同カンファレンスで100TBの2.5インチSSDが発表されたことは、M.2 SSDの大容量化を示唆するものだ。2017年には10TB以上の容量が実現する可能性もある。板ガムサイズのドライブとしては、かなりの大容量だ。
3年前にはまだ数千ドルする大容量PCIe SSDが販売されていた。だがIntelの1TBのM.2 NVMe SSDは本稿執筆時点でわずか359ドルであり、960GBのSATA SSD(250ドル)と比べてそれほど高額ではない。そしてNVMeドライブの方がはるかに高速だ。
今後の展開を正しく予測するためには、ホストインタフェース側での対応も必要となる。市場にはM.2 PCIeスロットを搭載するマザーボードが出回りつつあるが、SATAドライブに適した2レーン接続をサポートするものと、NVMeに必要な4レーン接続をサポートするものとに分かれている。こうしたマザーボード技術の変化をけん引しているのは、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)などが提供するチップセットだ。マザーボードの他には、標準PCIeスロットをM.2に変換するアダプターカードを利用してSSDを取り付けるという方法もある。
価格と容量
10万~15万IOPS(1秒間に処理できるI/O数)の性能を持つ1TB SSDが低価格で提供されるとなれば(中には69ドルという製品も)、回転速度1万rpmの企業向けHDDの出番はなくなる。1年以内に「3D NAND」技術を採用したSSDの高密度化と低価格化が進むことが予想される中ではなおさらだ。
PCIe接続のSSDとSATA接続のSSDの製造コストに大きな差はない。将来的には、コモディティ化したSATA SSDとの価格差が縮まり、2種類の製品が存在する意義が問われることになるだろう。ただし2017年には価格競争が進展し、そうした疑問がなくなる可能性もある。10TB以上のM.2 SSD NVMeドライブが登場すれば、恐らくそれがサーバにとって最適な選択肢となる。
そこで注目すべきはサイズの問題だ。1台のサーバに12基のM.2 SSDを搭載したい場合、現行の2Uサーバではなく1Uサーバで実現できる可能性がある。そうなればラック内のサーバ密度は2倍になる。
「だが待って!」と通販番組の司会者なら言うだろう。誰かがSSDを垂直に取り付ける方法を編み出し、12基のSSDをわずか60mmの幅に配置できるようになるかもしれない。そうなればサーバの幅を半分かそれ以下に減らし、HPEの「Moonshot System」のような超高密度マイクロサーバでも高速ドライブを大量に収容できることになる。
小型のM.2規格SSDはこうした新しいサーバ設計にとって理想的であり、今後はフットプリントのさらなるコンパクト化が進むことが予想される。M.2はPCIe対応であり、LAN接続も含め、あらゆるサーバ機能をサポートする点も忘れないことだ。100GbEのRDMA(Remote Direct Memory Access)ポートとNVMeドライブをさまざまに組み合わせたサーバを設計できるようになれば、2018年にはハイパーコンバージドシステムが今よりもはるかに高性能化し、M.2 SSD経由でさらに大容量のストレージとさらに高い帯域幅を提供できるようになるかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
5
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
6
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー