誇大宣伝にゆがめられたAI(人工知能)の正しい使い方:AIの誇大宣伝に混乱する企業たち(前編)
今、単なる画像認識や機械学習までもがAIとして過大に宣伝され、企業導入が進まないという事態を招いている。誇大宣伝や誤ったイメージから逃れ、AIに正しくアプローチする方法とは?
エンタープライズITコミュニティーの多くは覚えているだろう。テクノロジーサプライヤーが2000年代初めに、製品やサービスのグリーンウォッシング(訳注:環境に配慮しているふり)を行ったことを。サプライヤーがこぞって環境への配慮を装い、消費者を惑わせ、結果として自ら災いを招いて市場にブレーキをかけたことを。
だが、その多くはこの経験からほとんど何も学ばなかったように思える。Gartnerによると、今IT業界は何にでもAIという冠をつけることで、「AI(人工知能)ウォッシング」という自己破壊的戦略を取っているという。サプライヤーは再び顧客を惑わし、顧客は導入の決断を先延ばしにしている。
AIという冠はどこまでが真実なのか。もし真実だとしたら、市場にこれまでどのような影響を与えてきたのだろうか。451 Researchのリサーチ部門バイスプレジデント、ニック・ペイシャンス氏は、エンタープライズソフトウェア分野では明らかにAIが過剰宣伝されており、導入が進む一般消費者市場に後れを取っていると考えている。
「ルールベースの自動化を導入する多くの新興企業は、AIを活用していると主張している。サプライヤーもAIシステムを用意しているという。だが、それらを厳密に定義するなら、ほとんどが画像認識やスコアリングを行う機械学習ソフトウェアだ。そのこと自体には何の問題もない。だが、そうしたソフトウェアが人間の代わりに多くのことを行うロボットになることは決してない。そのため、誇大宣伝を見破り、検討している製品の本質を理解しなければならない」(ペイシャンス氏)
Accenture TechnologyのAI部門責任者、エマ・ケンドリュー氏も同じ意見で、ハイプサイクルがピークに達していると考えている。こうしたサイクルは、ビッグデータやクラウドの可能性を活用しようとする企業のマーケティング活動や、顧客の関心の高まりに後押しされている。
「AIはしばしば、未来を描くSF映画を連想させ、意味深長な複雑さを漂わせる。また、不可解さや邪悪な雰囲気さえ感じさせる。だが、こうした感覚はマーケティングやメディアによってもたらされる切迫感によるものだ」(ケンドリュー氏)
このような状況から、多くの組織やその上級幹部がAIを意識し、早急にAIと向き合う必要性を感じている。ただ、どこから手を付ければよいかが分かっていない。
AIへの正しいアプローチ
何に投資し、どこから着手するかに確信を持てない。「そのため、AIへの意識は高まっても、多くはどこから手を付けるべきか混乱し、不確実になっている」とケンドリュー氏は話す。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.