Skype for Business導入の障害になった意外な“レガシー”:複数のPBXが混在していても無問題
英国のある労働組合は、合併を繰り返したため複数の電話システムが混在する状態にあった。Skype for Businessへの移行は困難が予想されたが、意外にもスムーズだったという。だが、問題は別にあった。
専門職の労働組合「Prospect Union」(以下「Prospect」)は時間の節約と効率の向上を既に達成した。Prospectは次に、長期契約を結んでいるインターネットサービスプロバイダー(ISP)のGCIを通して同組合のコンタクトセンターの機能をアップグレードし、組合員に提供するサービスレベルを向上させたいと考えている。
Prospectの加入者は14万人。英国の労働組合の中で最大規模とはいえないものの、組合員の職業の多様さが際立っている。動物学者、地図学者、環境科学者、工業化学者、気象学者、ソフトウェアエンジニア、視覚エフェクトアーティストなど、実に多様な職種にわたっている。
組合員がこのように多彩なのは、もとは別々だった組合が幾つか合併したことに起因する。その合併は、結果的にバックオフィス機能が複数のサイトに分散するという事態につながり、ITシステムや通信システムも必然的にさまざまなものが混在することになった。
「結局われわれは、複数の拠点で複数の電話システムを運用することになった。大多数の拠点ではPBX(構内交換機)がまだ現役で、17、18年使い続けたものもあった」と、ProspectのIT部門責任者ポール・シュレブ氏は当時を振り返る。「組合全体として足並みをそろえて取り組むのが困難な状況だったので、新しい電話システムが必要だと考えた」
数年前にシュレブ氏はPBXの問題に取り組み始め、組織全体でこれを刷新するという結論に達し、GCIに相談した。GCIは約10年前からProspectにインターネットサービスを提供していた。GCIは、組合内の一部の部門で既に共同作業に使用していた「Skype for Business」をPBXとして使用することを提案した。
「MicrosoftはSkypeに多額の投資を行ってきた。もともとPBXの後継という使い方を想定している製品ではないことは承知していたが、むしろわれわれの今後にとっては好ましいという印象があった」とシュレブ氏は話す。同氏はPBXからSkypeへの移行作業のリーダーを務め、この作業は3〜4カ月で完了した。幾つかの電話番号で移行の問題が発生したことを除けば、問題の発生も最低限に抑えることができたという。
「Skype for Businessの導入で素晴らしかったことの1つは、われわれがもともとIP PBXを使っていなかったことが、移行作業にはかえって有利だったことだ。われわれのシステムは実に旧式だったので、世代を飛び越した実装を実現できた」とシュレブ氏は語る。言い換えると、Voice over IP(VoIP)サービスのサプライヤーと交渉する必要もなく、GCIだけで移行に関する全ての作業を完了できた。
「難航した部分は、技術面ではなかった」
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