それでもマルチクラウドを夢見る管理者のための処方箋:マルチクラウド神話を打ち砕く(後編)
マルチクラウドは幻想にすぎない。プロバイダーのうたい文句通りにはいかない。それでもマルチクラウドが必要なのであれば、次善策を検討しよう。
前編(Computer Weekly日本語版 1月10日号掲載)では、クラウドプロバイダーが主張するクラウド間のシステム(ワークロード)移行が容易なことではなく、現実的ではないことを解説した。
後編では、それを踏まえてクラウド移植性を実現する方法を検討する。
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クラウド移植性を実現する次善策
機能やサービスはクラウドプラットフォームごとに異なるため、ワークロードが非常に単純かつ自己完結型でない限り、単純にワークロードを別のクラウドに移行するのは難しい。ただし、この困難を回避する方法が1つある。それは、PaaSなど、特定のクラウドプラットフォームに結び付いていないアプリケーション環境を利用する方法だ。アプリケーションに必要なサービスの多くはPaaS自体に多数用意されているため、クラウド間で環境全体を移行できる場合にはPaaSが移行に役立つ。
Gartnerのテクノロジーおよびサービスプロバイダー調査グループでリサーチディレクターを務めるマシュー・チャン氏は、次のように説明する。
「PaaSプロバイダーは、実のところIaaSに全く価値を見いだしていない。例えると、家全体を持ち上げて別の場所に移すようなものだ。基盤となるインフラが全てそろっていれば、それほど苦労はしない」(チャン氏)
その顕著な例が、Red Hatの「OpenShift」だ。このプラットフォームでは、ユーザーがDockerコンテナを使ってアプリケーションを構築、導入できる。Dockerコンテナは、オンプレミス、Azure、AWS、GCPに導入可能なバージョンが用意されている。従って、理論上は先述した任意のプラットフォームにアプリケーションを移植できる。
だが、ここでも依存関係に関する同じ注意点が当てはまる。
続きはComputer Weekly日本語版 1月24日号にて
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