検索
特集/連載

電子メールも進化する 続々登場するSlack対抗機能とは多くのスタートアップが開発

メッセージングアプリを使ったコラボレーションが注目される中、依然として大多数の企業が使っている電子メールを進化させようという動きもある。スタートアップが開発する新アプリとは。

Share
Tweet
LINE
Hatena

関連キーワード

Slack | Gmail



Front《クリックで拡大》

 企業の間に、個人ではなくチームを中心としたコラボレーション用アプリケーションの導入を急ぐ動きがある。それは、出来事を時系列ではなくタスクによって整理するユーザーインタフェース(UI)を持つアプリだ。「Cisco Spark」や「Slack」のようなコラボレーションアプリは有用である一方で、他のベンダーは昔ながらの電子メールを、より企業のニーズを満たすようにするアプリやツールの開発に取り組んでいる。

 サンフランシスコを拠点とするFrontAppは、社外の電子メールと社内コラボレーションアプリとのギャップを埋めようとしているスタートアップ(創業間もない企業)の1社だ。同社が提供する共有受信トレイアプリの「Front」は、「全員に返信」「転送」「CC」などのメール機能を使用することなく、チーム間でメッセージをやりとりすることができる。

 Frontは、顧客対応が求められるセールスチームやコンタクトセンターチームにとって有用だ。「全ての企業が持つ電子メールを軽量で簡単にするという改革を実現した」とFrontAppのマーケティング責任者であるケイコ・トクダ氏は述べる。

 同じようにRedkixも、職場での電子メールの使用方法を再定義しようとしている。同社のアプリはSlackに似たチームメッセージング機能を提供するが、社外の受信者とコミュニケーションをするときは自動的にチャットを電子メールに変換する。

 「Redkixは電子メールとソーシャルネットワーキングの世界を融合させる、という素晴らしい仕事を達成した」と調査会社Constellation Researchのプリンシパルアナリストであるアラン・レポフスキー氏は述べる。「この2つの世界を橋渡しすることは、重要なステップであり、大きな課題である。コラボレーションアプリが常に直面する問題だ」

 FrontAppは先日、ベンチャーキャピタルSequoia Capitalが実施したシリーズB(成長段階)の投資ラウンドで6600万ドルを調達したと発表した。FrontAppの資金調達結果は、シリコンバレーの投資家たちが「電子メールは企業にとって不可欠なツールである」と認識していることを示唆している、とレポフスキー氏は語る。

 チームメッセージングベンダーが相次いで競合製品を繰り出すにもかかわらず、依然、電子メールはビジネスの至る所で利用されている。Adobe Systemsが2017年に発表した電子メールの利用動向調査レポートでは、80%の回答者が同僚とのコミュニケーションに電子メールを定期的に使用し、一方でインスタントメッセージを頻繁に使用している回答者はわずか37%であった。

チーム向けに設計された電子メール

 メッセージングクライアントや連絡先リスト、ファイルストレージアプリ、カレンダーとの連携は、電子メールを使ったコラボレーションアプリを開発するスタートアップにとって「より強力な助けとなる」と調査会社Lopez Researchの創設者であるマリベル・ロペス氏は語る。

 例えば、Frontは企業内のユーザーがアプリ間の切り替えの必要性を最小限に抑えることができるように「Twitter」「Facebook」「Twilio」「Salesforce CRM」などのアプリとの連携を可能にしている。ユーザーは、単一のインタフェースでチームと個人の電子メールアカウントを管理することもできる。

 「現在、当社は、チーム向け電子メールに目を向けている。しかし今後、チームが協力し合えるだけでなく、このアプリで事実上ほとんどの作業を進めることができるような機能を持つことが目標だ」とFrontAppのトクダ氏は語る。

 ロペス氏は、今日のスタートアップによって提供される電子メールコラボレーションアプリの多くは、MicrosoftやGoogleなどの著名な企業によって最終的にはコピーまたは買収されると予測している。

 それにもかかわらず、スタートアップは引き続き電子メールの枠を超えようと取り組んでいる。「Sortd」や「Drag」のようなツールは、受信メールを時系列ではなく、タスクに基づいたリストにすることで、ユーザーが電子メールの受信トレイを整理しやすくする。Astro TechnologyやKNOWMAIL S.A.L.(Knowmail)のような企業は、受信トレイをスキャンしてリマインダーを自動的に設定し、ワークフローのヒントを提供する人工知能ツールを開発している。

 「ユーザーはこれまで、名前、日付、時間、送信者、件名、サイズ、そして優先順位フラグなども含め、カラム表示を基にした電子メールを20年の間見てきた」とレポフスキー氏は述べる。「新しいアプリやツールを開発するスタートアップは、『メッセージ内のコンテンツをデータマイニングし、優先順位付けしてからどのように表示するかを決めます』と言い出すだろう」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る