Alexaスキル開発に失敗しないためのアドバイス:CW:音声アシスタント時代の企業戦略(前編)
Amazon Echoをはじめとするスマートスピーカーにより、音声による対話で機能する機器の普及が加速した。Alexaスキルの開発も活発化しているが、この流行に乗るにはどうすればいいのか。スキル開発の注意点とは?
調査会社Gartnerの発表によると、成熟市場では「スマートスピーカーを所有し、少なくとも週に1回は声を掛けている」という人が約5分の1に上るという。
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ただし、この端末の使用をやめたと回答した人も10%いることが同じ調査で明らかになっている。「使うのをやめたユーザーの割合はかなり高い」と語るのは、Gartnerの調査担当バイスプレジデント、アネット・ジャンプ氏だ。「ウェアラブル端末が登場したときと非常に似た現象が起きている。この端末を試してみたものの、期待した機能を十分果たさない。自分の声が認識されない。あるいは、Googleのメールアカウントしかリンクさせられない。自宅にそもそもスマートホーム対応機器がない、という場合もある」
音声で指示できるのは便利だが、ユーザーがそれで何を求めるかに関しては「個人の境界線」が存在すると同氏は指摘する。音声アシスタントアプリの開発方法を評価する際に、企業が念頭に置かなければならない課題の1つだ。
「スマートフォンの音声制御の使い道は場所によって異なる。だが、家庭では音楽を再生させたり、家庭用のスマートデバイスを制御したり、天気を聞いたりする」とジャンプ氏は説明する。
「Amazon Echo」は、内蔵の音声認識ソフトウェア「Alexa」を使用して、サードパーティーが開発した「スキル」と呼ばれるアプリに接続することができる。
しかしここでジャンプ氏は次のように問い掛ける。「仮にAlexaに1万種類のスキルを実装したとして、実際に使われるスキルはどれほどの数になるのか」
ハイテク専門の調査会社Rethink Technology Research(以下「Rethink」)によると、音声機能はAppleのApp Storeのようにサービスを販売する経路として機能し、音声で製品の価値が向上したことによる収益の一部が支払われるという仕組みになっているという。
Amazonとしては、Alexaを加速させるためにできるだけ多くのサービス(スキル)が公開されることを望んでいるとRethinkは指摘する。
「いずれは、サービスを積極的に実現するスキルに課金する方向に持っていきたいと、われわれは考えている。例えば、もうすぐ雨が降ってくることを感知して、出勤のためにUberで安価なタクシーを手配し、Uberが得た乗車料金の一部を請求する、ということだ」と、Rethinkのアナリストは説明する。
コンサルタント企業Accentureによると、音声ユーザーインタフェースは注目されつつある分野だという。「AlexaやGoogle Homeが市場に出てきたことで、音声アシスタントへの関心が高まってきている。この技術が一般大衆に広く普及する準備は整った」と、Accentureのテクノロジー部門で人工知能(AI)分野のリーダーを務めるエマ・ケンドリュー氏は話す。
音声アシスタントは、より自然な体験をユーザーに提供するものだと同氏は指摘する。デジタルネイティブ世代の若年層にとって、機器に音声で語り掛けることはより自然な行為であり、彼らが新しいアプリやスマートスピーカーの需要を拡大するけん引役を果たしていることにAccentureは気付いた。
音声認識の実験に取り組んでいる企業にとって、勇気づけられる発見だとケンドリュー氏は意気込む。「直接接客する業界が、この分野のリーダーとなっている。金融業界でも、ローンの抵当に関して顧客に助言する音声アシスタントなど、具体的なユースケースを実験的に導入しつつある」と同氏は話す。
「顧客体験を変革する方法に関心を寄せ、音声アシスタントの導入が適切な場面とそうでない場面を検討する企業が増えてきている」
音声対応機能の導入
ケンドリュー氏によると、音声アシスタントの設計に当たっては、ユーザーを念頭に置くことが非常に重要になるという。こうした新しいテクノロジーが使えるようになると、組織はその事業目標を達成するための適切な利用法とはどのようなものなのかを検討しなければならない。
とはいえ、一体どこから着手すればいいのか。その問いに対して、音声ベースのアプリを多数構築した実績を持つ企業Elixirr Creativeの創業者であるビル・キングストン氏には持論がある。
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