WindowsのライバルはMacではなくChrome OS&Chromebook:Chrome OS&Chromebookのススメ(前編)
Windowsよりもう少しましなものはないのか? 以前はMacだったかもしれないが、今は違う。企業向けデスクトップOSとしてChrome OSが浮上してきたのはなぜか。
約20年間、「Windows」は業務用のデスクトップOSとして支配的な立場にあった。クライアントサイドコンピューティングは1990年代後半のデスクトップITとは全くの別世界であるにもかかわらず、大企業のIT部門の価値観では、Windowsはいまだに不動の地位を占めている。
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「Android」と「iOS」のインストールベースを合わせると、今やWindowsベースのPCをはるかにしのぐ。ビジネス向けのSaaSが成熟してきたことで、業務用分野でもブラウザベースのアプリケーションやモバイルアプリが普及している。
しかし、旧来のエンタープライズアプリケーションの大半はWindowsユーザー向けに設計されており、デスクトップ管理者はWindows資産を管理し、システムをチューンアップすることに何年も費やしてきた。
Microsoftは、2020年1月14日に正式に「Windows 7」のサポートを停止する予定だが、今も多くの企業がこのOSに依存している。まだ「Windows 10」に移行していない企業も少なくない。
そろそろIT部門の人々は、次の難しい問いを自分に投げ掛けるときが来ているのではないか。「Windowsより、もう少しましなものはないのか?」と。
Windowsに代わる存在
Windowsの直接的なライバルは明らかに「macOS」だ。Appleは「iPhone」の成功を足掛かりとして、上位機種のノートPCの世界にまで進出しようとしている。上位のモデルには、大抵の企業が導入しているノートPCよりも洗練された機能が数多く搭載されている。
ただし、macOS(旧「Mac OS X」「OS X」)は「BSD」(Berkeley Software Distribution)のUNIXカーネルから派生したOSだ。昔から使われてきたOSなので、ユーザーインタフェースやカーネルは異なるといっても、Windowsと同じくファット(機能の豊富な)クライアントアプリケーションもサポートする、広範なサービスをプラットフォームに提供するように設計されている。
他方、Googleは全く違うアプローチを採用している。始まりは2011年に「Chrome OS」がリリースされたことだった。Chrome OSは「Linux」ベースのOSで、Webブラウザの「Chrome」を主なユーザーインタフェースとし、このブラウザを前提とするクラウドベースのアプリケーションに依存している。
ローカルにアプリケーションやストレージを配置するという発想はない。必要なものは全てオンラインでアクセスするのが基本思想だ。Chrome OSは、ブラウザベースのアプリケーションをできるだけ効率よく実行するように設計されている。本誌Computer Weeklyの専門家たちはChrome OSを信頼していると発言している。Chrome OSはその主張通りの性能を達成しているだけでなく、Web体験もWindowsやmacOSといったファットクライアントOSより快適だという。
ただし、ITディストリビューターのTech Dataが指摘した通り、Chrome OSはネットワーク接続できるかどうかによって利用できる機能が制限されることはない。「『Chromebook』はオフラインでもオンラインでも動作する。オフラインモードを有効にすると、ドキュメントをローカルストレージに保存して作業を続行できる。インターネット接続が復旧し次第、クラウドと同期すればいい」とTech Dataは説明する。
Googleは以前から教育分野でChromebookを普及させることに注力し、多くのハードウェア企業が低価格のChrome OSラップトップを販売していたが、最近この方針を転換した。現在は、あらゆる価格帯のChromebookが発売されている。
Google自身もハイエンドのChromebookを発売している。それは、Apple、Microsoft、HP、Dell、Lenovoの最上位のUltrabookと比べても価格や洗練度の面で引けを取らない競争力を持っている。
クラウドによる変化
クラウドベースのストレージの出現と、多くの企業向けソフトウェアベンダーがSaaSも提供するようになったこと。これらを考え合わせると、Chrome OSを企業のデスクトップOSとして採用することを検討すべき時期が来たといえるのではないだろうか。
ベンチャー育成事業を手掛けるBlenheim Chalcotでグループ技術責任者を務めるマーク・リドリー氏は次のように語る。「適切なアプリケーションを使用している限りは適切なツールだ。Webブラウザという1つの処理を実行する。Chrome OSは、WindowsやmacOSの機能を全て備えているわけではないが、その制限故に展開は容易だ」
リドリー氏は、人材採用企業のReedでCIO(最高情報責任者)を務めていた時期にChrome OSを導入したパイオニアだ。同氏はこのOSが安全な環境を提供しているので、コンプライアンスの優先順位が高い職場には最適な選択だと考えている。
「Chrome OSの被攻撃領域はWindowsよりもはるかに小さい。Chrome OSはハードウェアと密接に結び付き、起動方法が保護されている。さらに、全データをクラウドに残しておけるので、データ損失の脅威は大幅に軽減される。Chrome OSが稼働しているChromebookは、セキュリティエクスポージャー(リスクにさらされる資産)を端末からクラウドサービスへ移行させるという、単一の用途のために構築されている」
システムインテグレーターのComputacenterは1年半(18カ月)ほど前から、Chrome OSの需要の急増を実感している。
続きはComputer Weekly日本語版 4月18日号にて
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