フラッシュストレージ時代のRAID――基礎から各社の独自技術まで:RAID技術は百家争鳴
オールフラッシュアレイ製品を導入するに当たり、各製品が実装しているRAIDオプションを理解する必要がある。中には、独自拡張したRAID機能もある。RAIDの基礎と各社の技術を紹介しよう。
ここ数十年、データ保護の要としてRAID(Redundant Array of Independent Disks)が利用されている。
RAIDの構成要素は非常にシンプルだ。その要素は、データをストライピングやミラーリングで分散させるための複数のHDDと、正常なデータを参照して障害が発生したユニットを再構築するための一連のパリティーデータだけだ。
では、SSDの登場によってRAIDの利用にどのような影響があるのだろう。
本稿では、主要フラッシュアレイメーカーが提供するRAIDオプションについて詳しく見ていく。
とはいうものの、従来製品にフラッシュ機能を組み込んだオールフラッシュアレイの場合、ミラーリング、ストライピング、パリティーを適宜組み合わせることで、HDD搭載製品と同様のRAIDレベル(RAID 1、10、5、6)を利用できる。
その一方、新興メーカーのオールフラッシュアレイの多くや大手6社の新しいアレイの一部では利用できるオプションが限られており、パリティーベースのRAIDレベル(5と6)が一般的のようだ。場合によっては特有のアレンジやブランディングを加えており、独自のトリプルパリティーRAIDを採用しているNetAppのような例もある。
ここまで概況を述べてきたが、RAIDの基礎についておさらいしておこう。
RAIDの基礎
RAIDの実装方法はさまざまだ。だがどのRAIDも、目的に応じてストライピング(データ保護というよりアクセス速度の向上に役立つ)、ミラーリング、パリティーを組み合わせて構築される。
例えば、RAID 1はドライブ間でデータをミラーリングするが、RAID 10はミラーリングしたペアにデータをストライピングする。RAID 1とRAID 10はいずれも、読み取り/書き込みパフォーマンスに優れる。
一方、RAID 5はデータ保護/再構築のためにパリティーを使用し、容量を最大限に使用するが、書き込み速度は遅い。RAID 6は保存するパリティーデータを追加して、RAID 5よりもデータ保護を強化する。
ストライプセットのサイズは、データを書き込むドライブの数になる。ストライプセットのサイズが大きくなると、書き込むドライブの数が増え、I/Oパフォーマンスが向上する。
だが、ストライプセットが大きくなると、回復不能な読み取りエラーが発生したときにRAIDの再構築が困難になる恐れがあることには注意が必要だ。当然、ドライブの容量が増えるとRAIDの再構築にかかる時間も大幅に長くなる(訳注)。
訳注:大容量HDDで構築したRAIDのリスクについては、Computer Weekly日本語版 2017年4月19日号の「RAID vs. イレージャーコーディング――フラッシュに最適な保護技術とは?」で詳しく解説している。
RAIDは進化を続けており、さまざまな新しい保護方法が登場している。例えば、RAIDの基本構成要素を使いながら、これまでにない方法でデータやパリティー情報を分散させる方法がある。
さて、フラッシュドライブの世界とRAIDには何か関係があるだろうか。
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