「AI」を少ないデータでも生かせる企業が勝ち残る:アンドリュー・ウン氏のAIプレイブック【中編】
AI活用が失敗する理由とは何か。データ量が限られる中で、AIをどう活用すべきなのか――。GoogleとBaiduで人工知能(AI)開発を手掛けた第一人者が、企業のAI活用のポイントを解説する。
前編「GoogleとBaiduで活躍した先駆者が語る、AI開発の正しい進め方」で紹介したように、人工知能(AI)テクノロジー開発の第一人者であるアンドリュー・ウン氏は現在、さまざまな業界におけるAI活用を支援している。
企業がAIを利用するまでには困難を伴う。それを乗り越えるためのウン氏からの推奨事項は、以下の6つだ。
- ブレインストーミングから始める
- AIが新たな方法をもたらすことを理解する
- 少量のデータに備える
- 全社的な理解を得ることでAIパートナーシップを構築する
- AIの影響を測定する
- シンプルにする
今回は2つ目と3つ目の推奨項目について紹介する。
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2.AIが新たな方法をもたらすことを理解する
AIプレイブックを軌道に乗せる上で重要なもう一つのポイントは、AIがどのように失敗するかを理解することだ。機械学習が抱える課題の一つは、ワークフローが異なることである。そのため、AIの研究員は、プロジェクトの失敗につながるシステムの状況をビジネス部門に伝達する方法を見つけ出せずにいる。プロジェクトの失敗は、かなり重大な結果を招くこともある。誤診や墜落事故などがその例だ。
メディアは、新しいAIシステムが、どのようにして人間よりも正確にX線を評価するのかといったトピックをいち早く取り上げる。だが、こうした報道では、「最新のX線装置」と「完璧な状態で撮影した画像」を使用することが条件になる点が抜け落ちてしまいがちだとウン氏は指摘する。旧型のX線装置を使用した場合やAIシステムのトレーニングに使用した画像とは異なるアングルで患者を撮影した場合、AIより医師の腕の方が確かだ。
このようにして、新しいAIシステムは実世界で機能せずに終わることになる。その理由は、事業部門がこのような「境界」条件に対処する適切なプロセスを用意していないことにあるとウン氏は話す。従来のソフトウェアエンジニアリングは、このような問題に対処するために「アジャイル」「スクラム」「コードレビュー」といったプロセスを生み出してきた。AIの世界は、同等のプロセスを導入する最善の方法を模索している段階だ。
3.少量のデータに備える
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