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クラウドとコンテナに向けて進化を続けるJavaリリース速度を向上

JCPの委員長を務めるバンチュラ氏は、Computer WeeklyのインタビューでOpenJDKの開発を継続すると表明。若い世代を引きつけるプラットフォームであり続けると語った。

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 2017年にOracleが「Java Platform, Enterprise Edition」(Java EE)をEclipse Foundationに寄贈すると発表。これを受けて、Java Community Process(JCP)は「Java Platform, Standard Edition」(Java SE)の開発に全力を傾ける予定だと話すのは、JCPの委員長を務めるヘザー・バンチュラ氏だ。

 シンガポールで開催された開発者カンファレンス「Voxxed Days Singapore」に合わせて、英Computer Weeklyはバンチュラ氏に話を聞いた。その中で同氏は、JCPがJava SEのオープンソース実装「OpenJDK」の開発を継続する予定であることを明らかにした。

 OpenJDKプロジェクトの成熟度が高まるにつれ、順次Java Specification Request(JSR)に盛り込まれ、JCPと同執行委員会の承認を受けることになる。その後は6カ月置きにOpenJDKの新バージョンをリリースする予定だ。

 バンチュラ氏は、2019年9月にはJava SEの最新版「Java 13」をリリース予定だとして次のように話す。「JCPは、Java SEとスタンドアロンのオプションプロジェクト全てに引き続き注力し、このプラットフォームをクラウドにとって理想的な環境にする予定だ」

 Java SEのスタンドアロンパッケージの例として、通貨、測定単位、デスクトップエンベデッドアプリケーション、機械学習を利用した視覚認識用の各種APIがある。

 Javaが技術開発や競合プラットフォームに後れを取っているのではないかという懸念に対して、リリースサイクルを速めることで現状のソフトウェア開発のペースに既に対応しているとバンチュラ氏は話す。

 「2017年に『Java 9』がリリースされた後、JCPは『Project Jigsaw』とモジュール方式をJavaに導入した。これにより、リリース候補の提供を速め、最新ソフトウェア開発の速度に追い付けるようにしている」(バンチュラ氏)

 これまでのJava開発者は、次のメジャーリリースまで4年待つことに慣れていた。だが、今では新しい機能の準備が整い次第、メインリリースに組み込まれるようになっていると同氏は言う。

 「メジャー開発プロジェクトで100を超える新機能をリリースするのではなく、10の新機能を頻繁に統合できるようにする」

 「これによりイノベーションの速度を上げ、Javaを旧世代の開発者向けだと考えている可能性のある若い開発者を引きつける」(バンチュラ氏)

 技術の点では、モノリシックなJavaアプリケーションからコンテナやマイクロサービスに移行しつつある企業にとってもJavaが適切になるよう、数多くのプロジェクトを進めているとバンチュラ氏は話す。

 例えば、「Portola Project」(Javaアプリケーションを実行する軽量のコンテナを構築できるようにする)、「Valhalla」(Value Typesを導入してメモリの使用量を減らす)、「Project Panama」(機械学習アプリケーションで使用するライブラリなど、ネイティブなソフトウェアライブラリとJavaとを接続する)などが進められている。

 開発者とユーザーがJavaに関心を持ち続けるようにするため、バンチュラ氏はJavaのユーザーグループ、企業、大学からフィードバックを集め、さまざまなユーザーがJavaプラットフォームをどのように利用しているかを詳しく調べている。

 バンチュラ氏は次のように話す。「大学で幾つか講演を行い、技術と認定に関する最新情報を伝えた。重要なのは、JCPとの橋渡し役として世界中の人々による外からのフィードバックを取り入れて、そのニーズを満たし続けることだ」

 「こうした取り組みが、特定の組織によるものではないJavaの人気を支える理由の一つだと考える。開発者や企業からフィードバックを収集するさまざまな仕組みがある」(バンチュラ氏)

 OracleからEclipse Foundationに管理が移管されたJava EEは、「Eclipse Enterprise for Java」(EE4J)プロジェクトの下で「Jakarta EE」に改名された。

 伝えられるところでは、数カ月間交渉の後、両者はEclipse Foundationがjavax拡張機能パッケージの名前空間を変更する条件にも、Java EE仕様で現在用いられているJavaの商標を使用する条件にも合意できなかったという。

 バンチュラ氏はこの交渉に関わっていないものの、開発者にはJCPが開発した「Java EE 8」を導入する機会はまだあると話す。現在Eclipse Foundationは、Java EE 8を「Jakarta EE 8」として始まる新しい標準を作成するためのベースラインに使用している。

 「ベンダーは依然として、JCPによるJava EE 8の実装を認定している段階だ。これはまだ初期の段階にある。だが、今後はJava EE 8に関わり過ぎないようになるだろう。力を注ぐのはJava SEになる予定だ」(バンチュラ氏)

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