失敗できないインターネットEDI移行で、製品を見極める9つのポイント:「2024年ISDNデータ通信終了とEDI移行」まる分かりガイド【第4回】
ISDNのデータ通信終了に向けて「インターネットEDIに移行するか否か」「移行するならどの製品に乗り換えるか」を検討する必要性に迫られている企業は少なくない。製品選定のポイントは。
本連載ではこれまで、NTT東西(NTT東日本、NTT西日本)が長らく提供してきたISDNサービス「INSネット」の「ディジタル通信モード」が終了することにより、EDI(電子データ交換)のユーザー企業がどのような影響を被るのか、サービス終了に備えて何をすべきかといった点について紹介してきた。最終回となる本稿は、ISDN回線を通じてEDIを利用している企業が、移行先の有力な候補である「インターネットEDI」に乗り換えるに当たり、どのような製品やサービスを選ぶべきか、選定の指針を提示する。
キヤノンITソリューションズの花澤健二氏によれば、まず検討すべきチェックポイントとして「インターネットEDIのシステムを自社で導入するのか、それとも外部のVAN(Value Added Network:付加価値通信網)サービスを利用するのか」という点を挙げる。
もともと自社内でEDIシステムを運用していた企業は、その延長線上でインターネットEDIのシステムを新たに自社で導入することが一般的だ。同様に、これまでVANサービスを使ってきた企業は、他のシステムに移行しない限り、引き続き同じサービスを利用し続けることになる。中には、ディジタル通信モード終了を機に自社運用からVANサービスへ、あるいはVANサービスから自社運用への切り替えを検討する企業もあるはずだ。「まずは『自社システム導入か、サービス利用か』の方針を決める必要があります」と花澤氏は説明する。
同様の決断に迫られた企業は、どのような基準で判断するのがよいだろうか。
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「自社導入か、VANサービスか」を選ぶ基準
以下に、インターネットEDIを自社導入するか否かの判断基準となるポイントを挙げる。
基準1.導入、運用コストは適正かどうか
自社環境にシステムを導入する場合は、当然のことながらシステム構築費用がかかる。VANサービス利用の場合、初期コストは比較的安く済む。ただしVANサービスは利用している間ずっと利用料を支払い続けることになるため、長期的な観点から見ると高くつく場合もある。それぞれにコスト面のメリットとデメリットがあるため、自社の予算や投資計画に適した方を選ぶのがよいだろう。
近年では、システムを一括導入する場合でもサブスクリプション方式の課金モデルを適用できるケースがある。この場合は自社環境にシステムを導入する場合でも、初期コストを抑えることが可能だ。
基準2.人的リソースを確保できるかどうか
システム導入には、金銭だけでなく社内の人的リソースもある程度必要になる。そうしたリソースを確保できそうにない場合は、VANサービスを使ってシステム導入や運用にかかる労力をアウトソースで賄うのも一つの方法だ。
基準3.セキュリティ要件を満たせるかどうか
EDIでやりとりする情報の中には、決済データや取引データなど、外部に漏らしたくない重要な情報が多く含まれる。こうした情報を外部のサービス業者に預けることが、社内のセキュリティポリシー上、認められないケースもある。このケースではVANサービスは選べないため、自社でシステムを導入することになる。
インターネットEDIシステムを構築するには、セキュリティ対策やSSL(Secure Socket Layer)証明書の運用など、従来のEDI運用時には求められなかった知見やスキルが必要になる。こうしたインターネット特有のスキルを持った人員を確保するのが難しい場合は、VANサービスに運用を委ねた方が得策だろう。
インターネットEDI製品の選定ポイント:センター側
自社でシステムを導入・運用する場合には、どのような製品を選べばいいのだろうか。センター側(主に発注者やサービス事業者)と端末側(主に受注者)とでは製品選定のポイントに違いがある一方、共通する要素も少なくない。まずは、センター側に特有の選定ポイントを挙げる。
選定ポイント1.既存システムへの影響度
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